第二章
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「やっぱり前のご主人のことを忘れられないのなら」
「温もりか」
「それをあげたらっていうのね」
「ただ優しくするだけじゃなくて」
それに加えてというのだ。
「暖かい寝床もあげてね」
「そうしてやってか」
「いつも温かい中に置いてあげるのね」
「それでいつも触れ合ったら」
それでというのだ。
「きっとあの子も明るくなるよ」
「そうだな、じゃあな」
「そうしてあげましょう」
夫婦は娘の提案にそれはと頷いた。
「あの子にね」
「温かいご飯やベッドをあげよう」
「そしていつも触ってあげて」
「温もりの中にいてもらおう」
「きっと前のご主人もそうしていたのよ」
娘は笑顔でこうも言った。
「だからね。ただ前のご主人のことは忘れられないでしょうけれど」
「犬は頭がいいからな」
「そうよね」
「けれどそれでもな」
「ずっと悲しんでいるままじゃ何もならないから」
「そうしてあげましょう」
娘はこう言って実際に温かい犬のご飯を作ってスポーキーに出した、そこには温めたミルクもあった。
母もそうすることにして犬用のベッドも買って用意した、そして。
いつも温かい声をかけて触った、するとスポーキーは次第に家族に懐き。
明るくなった、だが昼はベッドで寝てもだった。
夜寝る時は家族の誰かの傍にいて寝た、それで娘はある日夜寝る前に夫婦に赤いパジャマ姿で言った。
「スポーキー今私の部屋にいるから」
「今日寝るのはお前のところか」
「そこでなのね」
「そうなるから」
「そうか。じゃあな」
「あの子のこと宜しくね」
「ええ、今日は私が一緒に寝るわ」
こう両親に言ってお休みの挨拶をしてから自分の部屋に戻った、そしてもう自分のベッドの上にいる彼に言った。
「じゃあ一緒に寝ようね」
「ワン」
スポーキーは鳴いて応えた、そして一緒のベッドで寝たが。
娘は寝る時彼の前足を持った、すると彼はすぐにすやすやと眠りに入り彼女もその彼の寝顔を見て微笑んでから眠りに入った。
そして次の日の朝娘はスポーキーと共に起きてリビングにいる両親と一緒に朝ご飯を食べながら言った。
「スポーキーって夜は前足を握らないと寝ないわね」
「ああ、前足から温もりを感じてな」
「そうして落ち着いてね」
「それで寝るな」
「いつもね」
「本当に温かいものが好きなのね」
娘はトーストを食べつつ笑顔で言った。
「そうなのね」
「そうだな、本当に前のご主人にな」
「いつも温かくしてもらったのね」
「そして今もな」
「温かい中にいたいのよ」
「そうよね。じゃあこれからもずっとね」
娘は笑顔で言った。
「スポーキーにね」
「温かく接していこうな」
「何でもね」
「そうね、スポーキーもそれでいいよね」
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