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友達と出会って
第二章

[8]前話
 ご飯の時になると穏やかな鳴き声をかけた。
「ワン」
「ワン」
「ワン?」
 アルサナはその声に驚いた様になった、だが。
 彼はご飯のところに行って食べ始めた、その間ずっと二匹は彼の傍に寄り添っていて優しい目で見守っていた。この時からだった。
 二匹はアルサナの傍にいた、彼がどうしても一匹でいたいと思ったらそっとしておきそうでない時に傍にいた、そして。
 いつも親愛の仕草をして彼に見せた、すると。
 遂にアルサナも親愛の仕草をする様になった、そうして三匹でいつも仲良くする様になった。勿論夫婦も彼にいつも優しく接していたが。
 ウィードとベンを見てそうして話した。
「僕達よりもな」
「そうね、ウィードとベンがずっと頑張ってくれて」
「そうしてアルサナを助けてくれたな」
「打ち解けさせてくれたわ」
「僕達だけじゃとてもこうはいかなかった」 
 夫は真面目な顔で言った。
「とても」
「そうね、アルサナはこんなに元気にならなかったわ」
「ウィードとベンがいてくれたから」
「こうなったわね」
「本当によかった」
 夫はこうも言った、家には揺り篭があってそこに男の双子がいるが三匹はその傍に護る様に寝そべっている。
「ラルフとタフィも護ってくれているし」
「この子達にとってもいいわね」
「ああ、本当にアルサナが救われたのは」
「ウィードとベンのお陰ね」
「全くだよ」 
 妻に応えた、そしてだった。
 夫婦はこのことを全てアルサナが保護されていた団体の人達に話した、すると彼等はこう話した。
「二匹の優しい犬がいてくれたから」
「あの子は救われたんですね」
「引き取られたお家にその子達がいて」
「そうして優しくしてもらったから」
「怯えきった心が救われて」
「明るくなったんですね」
「障害はあるけれどかなりよくなったそうですね」
 夫婦はこのことも話した、実はアルサナの障害は彼が明るくなるとかなりよくなったのだ。
「病は気からといいますが」
「そうでもありましたね」
「じゃあこのまま幸せに暮らしてくれれば」
「三匹でそうしてくれたら」
「アルサナは幸せなままですね」
「そうなりますね」
「優しい友人達に巡り合えたから」
 犬の彼等にというのだ。
「あの子は救われたんですね」
「ずっと辛い思いをしてきた子でも」
「そうなりましたね」
「本当によかったです」
 団体の人達はこう話した、そして夫婦のところに行った人は誰もがウィードそしてベンといつも仲良くしているアルサナを見た、もう彼はかつての怯え切っていて幸せを知らない犬ではなかった。幸せに包まれている犬だった。


友達と出会って   完


                  2021・2・21
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