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二匹で寄り添って支え合って
第三章

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「本当にね」
「そうだったんだね」
「ずっとこうしてね」
「お互い寄り添い合って」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「生きてきたの」
「それじゃあ」
 夫はここまで聞いて妻に言った。
「この子達はこれからは」
「ええ、私達がね」
 是非にとだ、妻は応えた。
「幸せにね」
「していこう」
「そうしていきましょう」
「この世に生まれたんだ」
 それならとだ、夫は妻に確かな顔になって答えた。
「それならだよ」
「幸せにならないと駄目ね」
「だから」
 それ故にというのだ。
「僕達がそうなる様にしよう」
「家族でね」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 家族は二匹を迎えた、その不安と恐怖で苛まれた心を癒すことからはじめた。優しい言葉をかけてだった。 
 優しく撫でてここは安全だと話した、そして。
 ご飯もあげた、散歩もしてだった。
 そのうえでいつも二匹が一緒にいられる様にした、すると。
「ワン」
「ワンワン」 
 アドニスもアポロも家族の足下に来る様になった、そしてだった。
 次第に懐いてだ、それでジェニファーは言った。
「もう怖がっていないわね」
「不安そうでもないね」
 夫も言った。
「この子達は」
「そうよね」
「それじゃあこのまま」
「暖かいお家のままでいてね」
「この子達をもっと幸せにしていこう」
 夫は妻に優しい声で話した、そしてだった。
 二人は二匹にいつも優しく暖かくした、それは確かに意識してそうしたが元々の二人の資質もあった。そうしてだった。
 アドニスとアポロは二人を信頼して共にいる様になった、その話を他ならぬ二人から聞きそしてその二人と二匹が一緒に写っている画像の二匹を見て彼等がいたシェルターの人達にもその画像を見せて話した。
「もうすっかりです」
「そうですね。心を開いてくれていますね」
「幸せになってくれているのがわかります」
「ここにいた時と全く違いますね」
「本当に幸せそうですね」
「辛い時も二匹で支え合ったのなら」
 シンディは優しい笑顔で述べた。
「幸せもです」
「二匹で、ですね」
「一緒に楽しむべきですね」
「そうあるべきですね」
「はい、辛い思いをしてきましたが」
 それでもと言うのだった、そうして二匹の画像をまた見た。その姿は本当に素晴らしいものであった。


二匹で寄り添って支え合って   完


               2021・2・21
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