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幻の月は空に輝く
日向宅訪問・1
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た? 何でだろ…)」

 間違いなくヒアシはネジと…私を見てる。
 私の場合容姿だけで言えば珍しい所なんて何一つないんだけど、穴が開くんじゃないだろうかと思えるぐらい見られているのは気のせいじゃ…ないよね?
 見られているから見返していた私の視線を遮るように、ネジがヒアシと私の間に立ち塞がる。ネジの背から立ち上るのは怒気だ。
 けれどさっきまでのような凍えるような冷え冷えとした空気じゃなくて、今度のは熱気が立ち込めそうな程の空気。視界にいれたくもない、じゃなくて、再び視界に入ってきた事に対してあのネジが怒ってる。

 ヒアシに見られた時に感じた不思議な感覚。

 あれ?と首を傾げた、あの、驚いたような眼差し。

 ドッと、滝のような汗が背中から滲み出て流れ出した。見える部分に汗をかかなかったのは偶然、というよりは根性かもしれない。
 ナルトと戦い、ネジが負ける事によって得たきっかけ。
 今ならば聞いてもらえると思ったというネジの変化。

 そのきっかけを、ネジの変化に感じ取ったのかどうなのか。

 まだ早いんじゃないかと、内心戦々恐々としながらヒアシを見ていたら、意味ありげに顔を歪ませた後息を吐き出し、ネジに背を向けたのだ。

「――ッ!」

 それによってネジの怒りは更に煽られ、力を込めて握られた手の平からは血が滴り落ちていく。確かに、まだ真実を話すのは早いって思ったけど…それでも……。



 話す気がないなら、こういう意味ありげな態度をとってネジを煽るな。
 
 いい年をした大人が!!



 生前の私と同じぐらいのヒアシ。ヒアシサイドでものを考えれば、早く話してネジに分かってほしいとは思うよ。
 けれど、常に分家と本家のいざこざを見てきたネジが、何の前触れもなく父親を失ったんだよ。無責任な事をネジに言う大人もいただろうと思うしさ。
 そんな悪意ある言葉から子供であるネジを直接守れなかった――拒絶もしただろうけど…それでもヒアシの態度は、ネジの友人としては腹ががつものだった。多分、真実を知っているからそう思うのかもしれない。
 知らなければ、名家の問題だからこそ関わり合いにはならなかっただろう。けど、真実を知っていて、それをヒアシが話せないという事実を知っている私が、今こうしてネジの友人をしているのはこんな状態を放置する為じゃないはずだ。
 寧ろ私が我慢出来そうに無い!

 ネジの拳に無理やり布を握らせ、デコピン一発を食らわしながらも立ち去ったヒアシを駆け足で追いかける。
 駆け足、というよりは瞬身だったけどね。
 ヒュンっと風をきりながら現れた私に、ヒアシはどうした?と、名家らしい威厳のある表情を浮かべ声をかけてきた。
 さっきまでの動揺なんて一切感じさせない表情と声。

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