第二章
[8]前話
「ロケットは物凄くチャレンジ精神が旺盛で」
「何でもやろうとするな」
「そうしているわね」
「僕が若し足がなかったら」
それも生まれつきだ、医師に診せるとロケットの足は先天的なものと言われた。
「それで義足がなかったら」
「どうしようもなかったのね」
「きっとね」
「それは私もよ。足が両方共なかったら」
妻も言った。
「そうだったらね」
「とてもだね」
「ええ、歩くこともね」
「出来なくて」
「義足がなくて車椅子もなかったら」
「お手上げだね」
「もう生きることにさえ絶望していたわ」
そうなっていたというのだ。
「本当にね」
「けれどロケットは義足を用意してあって」
猫用のだ、車輪のものである。もっと言えば義足と言うよりは猫用の車椅子と言っていいものである。
「それを使えるけれど」
「なくてもああして自分から何でも動こうとして」
「そして頑張ってな」
「果たすから」
勿論果たせないこともある、だが果たせることの方がずっと多くてそれで言うのだ。
「凄いわね」
「全くだよ、本当にね」
「この子は凄いわね」
「頭が下がるよ」
こうもだ、夫は言った。
「この子を見て色々学ばさせられるよ」
「そうね、例えかなりのハンデがあってもね」
「それで絶望しないで挑んで動けば」
「果たせることが多いわね」
「果たせないことよりずっとね」
「ええ、誰でも果たせないことはあるし」
例えハンデがなくともというのだ。
「それはいいわね」
「全くだね、じゃあこれからも」
「ロケットを見ていきましょう」
「家族として」
「ずっとね。こんな素晴らしい子はいないから」
「ニャア」
ロケットはそう話す二人に対して鳴いて応えた、そしてだった。
また前足だけで跳んで器用に着地してそうして素早く二人のところに来て身体を摺り寄せていた、二人はそんな彼に義足を付けると彼はこれまで以上に素早く動いた。それはまるで風の様で。夫はまた言った。
「こんな立派な子はいないな」
「全くよね」
「僕達はハンデだと思っているけれどロケットはそう思っていないかもな」
「この子にとっては普通のことかも知れないわね」
素早く動き回るロケットを見て話した、見れば彼のその顔には何の苦しみもなかった。実に楽しそうに動いていた。
ハンデもものとしないで 完
2021・2・21
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