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ハンデもものとしないで
第一章

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                ハンデもものとしないで
ベルリンに住んでいるマリーン=シュトルツィングは見事な金髪をやや伸ばし青い目には彫があり痩せた頬と高い鼻を持っている。一八五の長身ですらりとしたスタイルだ。仕事は鉄道職員で妻のハンナと結婚して二年目に入った。
 その彼がある日自分の家の庭に一匹の子猫がいるのを見た、白い毛でところどころ黒くなっている猫だった。
 毛並みは普通だった、だがその猫を見ると。
 後ろ足がなかった、それで彼は妻銀髪で青い目で一七〇の背と水泳で鍛えたスタイルと引き締まった顔立ちの妻を呼んでその猫を見せた。
「あの子を見てくれ」
「後ろ足がないわね」
「ああ、両方共な」
 見ればその猫はそうだった、だがそれでも動いていた。
「ないな、そしてうちに迷い込んできたらしいが」
「後ろ足が両方共ないなら」
 器用に動いていた、あがそれでもとだ。妻はすぐに猫の未来を察して言った。
「野良だと長く生きられないわね」
「だからな」
 それでとだ、夫は妻に話した。
「あの子をすぐに助けよう」
「うちで飼うのね」
「そうしよう」 
 まさにそうしようとだ、夫は妻に答えた。
「あの子はあのままにしてはおけないぞ」
「そうね、家族に迎えて」
「そうして暮らしてもらおう」
「後ろ足がなくても」
 それが為に野良では長く生きられないことは間違いなくともというのだ。
「私達がお家に入れれば」
「あの子は長く生きられるからね」
「それじゃあ」
「すぐにあの子をお家に入れよう」
 二人でこう話してだった。
 二人はすぐにその猫を抱き上げて家の中に入れた、そして猫をロケットと名付けて家族にした。ロケットは雄で。
 確かに後ろ足はない、だが。
「ニャア」
「ああ、またか」
「また跳んだわね」 
 二人は家の高いところに前足だけでジャンプしてそうしてそこに来たロケットを見て驚嘆の声をあげた。
「結構な高さだけだったのに」
「前足だけでな」
「それに普通に動けるし」
 後ろ足はなくてもだ。
「何でもするしな」
「ええ、確かにハンデはあるけれど」
 それでもとだ、妻は夫に話した。
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