T La bambina da I'ARIA…
第013弾 魔術師の対峙
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殿と呼ぶべきでしょうか?」
「……今の私は武偵よ、その名前で呼ばないで欲しいね。それで、あなたは誰? 『魔術師』の名前を知ってるってことは、イ・ウーの人間でしょうけど」
「はい、ボクはイ・ウー主戦派の一人、|西儀|《さいぎ》天音《あまね)です。水無瀬さんが休学後に入ったので、知らないのも無理はないかと」
「随分簡単にばらすんだね」
瑠璃神となった花梨が目を細めつつ、宿主の私と同じように臨戦態勢となる。
「潤さんから、正体を明かしても別に構わないと言われてますので」
「……やっぱりあいつが関わってるか。じゃあさっきの狙撃もそうだよ、ね!」
喋りながら、私は腕を振るう。
「魔法の射手・連弾・氷の17矢」
手から出現したのは、17本の氷の矢。鋭利な先端は右上──この状況の元凶である遠山潤がいる屋上に向けて、真っ直ぐ飛んでいく。
『おーやや、バレてたか。こわいこわい』
軽口を叩きつつ、遠山潤はHK417を掃射。フルオートで放たれた17の弾丸は、迫りくる氷の矢を狙い違うことなく打ち砕く。
盗聴していた私は想定内に事が進み、不敵に笑う。
『ざーんねん、あたらな──』
リロードしながら喋っていた時、先程砕いた氷が飛んできて、潤の周囲を漂っていた。
「氷爆」
魔術式を宣言し、私は笑いつつも視線を潤の方へ向けた。
『……矢はブラフ、本命はこの氷の微粒子ってわけか』
やるねえ。そのつぶやきは、冷気を纏った爆発音にかき消された。
天音と名乗った女性を見つつ、私はビルの屋上──潤がいるだろう場所で爆発が起こるのを確認した。長距離攻撃だから上手くいくか正直不安だったが、あの様子なら問題ないだろう。
「どう、瑠璃?」
「……うん、気配は消えた。詳細は分からないけど、しばらくは動けないはずだよ」
「そっか、それは重畳。さて、西儀さんだっけ? 狙撃手は潰したんだし、大人しく降伏してくれたら痛い目見なくて済むけど?」
「……ふふっ」
私の警告に対し、天音は着ている和服の袖口に手を当て、含み笑いを漏らす。
「……何笑ってるのさ」
「いえ、大したことでは。一人倒したくらいで有利を確信しているのが、おかしくておかしくて……」
クスクス、と余裕ぶった笑い声をあげる彼女に、私は眉を寄せる。不愉快だが明らかな挑発だし、誘いに乗ってやる気はない。
「へえ、まだ私達に勝てる気でいるの?」
「さあ? それはどうでしょうね。ただ──」
天音が口元を抑えるのとは反対の手を広げると、真横に『穴』のようなものが出現し、中から身の丈以上の長さを持つ、大鎌が這い出てきた。
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