暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第68話:奪われる物
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てくれたものは、僕が必ず役立ててみせます」
そう言ってウェル博士が胸元に手を当てた。
次の瞬間――――――
「動くな」
「ッ!?」
出し抜けにウェル博士の首筋に、金色の刃が突き付けられた。全員が一斉にその剣の持ち主に目をやるとそこには何時の間に姿を現したのか、白いローブを被ったような恰好をした魔法使い・ウィズがハーメルケインをウェル博士の首筋に突き付けていた。
「お、お前何やって――――ッ!?」
「き、貴様ッ!?」
「動くな。動けばこの男の首が飛ぶ」
「ぐっ!?」
ウィズの凶行に軍人達が彼に銃を突き付けようとするが、既にウェル博士が人質に取られている状況なので迂闊な事が出来ない。
クリスに響、あおいもウィズの行動に動揺を隠せないが、透だけはウィズの行動に何か意味があるのだろうと周囲の警戒を怠らなかった。
「おいお前。そのケースをそこに置け」
そうこうしていると、ウィズがソロモンの杖が納められたケースを自分の足元に置く様指示した。言われた軍人は苦い顔をしてウィズと指揮官の顔を交互に見るが、ウェル博士が人質に取られている現状従わざるを得ないと止む無くケースをウィズの足元に置いて下がった。
ウィズは暫し足元のケースを見つめると、徐にそのケースを中身ごと思いっきり踏み潰した。
「フンッ!」
「あっ!?」
「ウィズさん、何て事をッ!?」
「ッ!? 待って!」
クリスと響がウィズの行動を思わず咎めようとするが、あおいが違和感に気付いた。
その違和感を証明するように、ウィズは踏み潰されて砕けたケースを蹴っ飛ばした。するとばらばらに広がるのは砕けたケースだけで、肝心の中身である筈のソロモンの杖は影も形も無かった。
その事に再び動揺が周囲に広がる。
「やはりか……おい、その白衣の下を見せろ」
ウィズはソロモンの杖の在り処に当たりを付け、ウェル博士の白衣の下を怪しんだ。アルドから事前に話は聞いている。列車の襲撃の件も、その間ソロモンの杖を収めたケースを誰が持っていたのかも。
それら全てを統合すると、最も怪しいのはウェル博士以外に存在しなかった。
ウィズに剣を突き付けられ、ウェル博士は顔を引き攣らせたがそれでも白衣の下を見せるようなことはしなかった。博士の額から流れた汗が、頬を伝って顎から落ちる。
「…………透。こいつの白衣の下を確かめろ」
何時まで経っても白衣の下を見せようとしないウェル博士に、ウィズが焦れて透に確かめさせた。透は頷いて答えると、ウェル博士に近付き彼の白衣に手を掛けようとした。
その時――――――
〈ライトニング、ナーウ〉
「ッ!?!?」
〈バリアー、ナーウ〉
突如として透に襲い掛かる
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