暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第68話:奪われる物
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 少なくない犠牲を払いながらも何とか岩国基地に到着した一行は、そのままソロモンの杖の受け渡しを終わらせていた。

 あおいが提示されたタブレットに判を押す。

「これで搬送任務は完了となります。ご苦労様でした」
「ありがとうございます」

 判を押し、あおいは責任者らしき指揮官と握手を交わした。

 道中騒動はあったが、これで何とか任務は完了。後の事は米軍に任せる事となる。その事に透とクリス、響の3人は肩の荷が下りたと体を解す。

「これなら翼さんのライブにも余裕で間に合うよ!」

 実はこの任務の後には、お楽しみが待っていた。
 それは奏と翼のライブ。今夜は2人のライブが開催される予定となっており、2人のファンである響はそれが待ちきれなくて仕方が無かったのだ。

 そのライブ自体は透とクリスも心待ちにしており、響程露骨ではないがそれでも楽しみと言う気持ちが感じられた。

 そんな3人に、ウェル博士が声を掛ける。

「確かめさせていただきましたよ。皆さんがルナアタックの英雄と呼ばれる事が、伊達ではないとね」
「英雄ッ!? わたし達がッ?」

 厳密に言うと月の欠片の落下を阻止したのは颯人と奏の2人なので、真に英雄と呼ばれているのはあの2人なのかもしれない。だが響達だって月の欠片の破壊こそしていないが、それでもフィーネの野望を打ち砕く為に奮闘したのは事実。そう言った点を鑑みれば、響も十分に英雄と呼ばれる資格があるだろう。

「いやぁ、普段誰も褒めてくれないので、もっと遠慮なく褒めてください! 寧ろ褒めちぎってくだ、あいたッ!?」
「このバカッ! そう言うところが褒められないんだよ」

 調子に乗る響の脳天に、クリスのチョップが舞い降りる。完全に油断していた響は、脳天から響く衝撃に目に涙を浮かべて抗議する。

「痛いよぅ、クリスちゃん……」

 目の前で漫才を繰り広げた2人に、しかしウェルは気を悪くした様子も無く笑っていた。

「世界がこんな状況だからこそ、僕達は英雄を求めている」

「そう、誰からも信奉される、偉大なる英雄の姿をッ!!」

 随分と熱心に英雄について語るウェル博士に、透が首を傾げた。随分と演説染みていると言うか、単純に響や自分達を賛美しているにしては何かがおかしかったのだ。
 あまりこういう言い方をしたくはないが、狂気を感じずにはいられなかった。

 ウェル博士に仄かな危険性を感じてか、透が静かにクリスと博士を結ぶ直線を遮るように立つ。透のその動きに、嫌な予感を感じたクリスもそっと右手をギアペンダントに持っていった。

 ただ響だけは、ウェル博士の言葉をそのままの意味で受け取ったのか、まだ嬉しそうにしていた。

「あははー、それほどでも」
「皆さんが守っ
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