第二幕その五
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「知っています」
「そうなのですね」
「いや、そうした本を読むことも面白いです」
「中国の古典を」
「論語等を」
「そうした本も読まれるなんて」
日笠さんは目を丸くさせて言いました。
「凄いですね」
「そうでしょうか」
「それも中国語で」
「今の中国語でも読めますが」
「略体字の」
「昔の簡体字でもです」
そちらの漢字でもというのです。
「読めます」
「そうですか」
「それで読んでいます」
「中国の古典も」
「史記も読みました」
「中国の歴史書ですね」
「史記の面白さは素晴らしいです」
こう言って絶賛しました。
「もう歴史書といいますと」
「史記ですか」
「そう言っていいまでです」
「私は史記は読んだことがないのですが」
「読まれますと」
そうすればというのです。
「多くのことが学べます」
「歴史のことを」
「そして人間のことを」
「そうなのですね」
「日本語のものも出ていますので」
翻訳されたものもです。
「読まれて下さい」
「わかりました、私は理系で」
「生物ですね」
「中学生の時から理系が得意で」
それでというのです。
「高校は理系のクラスに入り」
「大学もですね」
「生物学を学んでいて」
「動物園に入られて」
「もうずっと理系です」
学問はそちらだというのです。
「私は」
「理系も楽しいですね、日本では文系ばかり言って理系をやけに嫌う小説家さんもいますが」
「そうなのですか」
「随分おかしな人に思えます」
この小説家さんはというのです。
「多くの作品がアニメになってもいますが」
「凄く売れている人ですね」
「おそらく日本の小説家では最もです」
「売れていますか」
「そうです」
先生は答えました。
「はい、ですが」
「そんなことを言われていますか」
「文系と理系両方がです」
まさにというのです。
「重要であり」
「どちらがどちらかではないですね」
「そうです、どちらが偉いということもなく」
「低いこともですね」
「ありません」
先生は言い切りました。
「その人は他にもおかしなことを書いていますが」
「そのことがですか」
「僕は間違っていると言います」
「文系も理系も同じですね」
「そうです、共に素晴らしいのです」
「どちらが上でどちらが駄目かはないですね」
「そうなのです、むしろあの小説家さんの様なこと言えば」
その時はといいますと。
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