最終章:無限の可能性
第280話「死闘の先を掴むのは」
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
傷つける事はない。
だが、二人の死闘ぶりを見て神夜は息を呑み、茫然としていた。
そんな神夜に、優奈が呼びかける。
「『貴方は、何のためにここに来たの!?世界を救うだとか、そんな大義名分じゃない。正真正銘、貴方だけの“意志”は、一体何なの!?』」
「俺の……“意志”……」
手に力が籠る。
自分にとっての正義を成すための力は失った。
それでも、自分は正義の味方でありたいと、善人でありたいと思っていた。
例えそれが偽善だろうと、空回りしていようと、それだけは変わっていない。
「(でも、違う。俺はそんな考えでここに立っていない)」
思い出す。自分が何を考え、最後の戦いに赴いたのかを。
正義のためじゃない。そんな考えを掲げられていられる程、神界は甘くない。
だからこそ、自分なりの“意志”を抱く。
「(―――怒りだ)」
神夜は一流のバッドエンドより三流のハッピーエンドが好きだ。
偽善的ではあるが、善人でありたいと思っていた。
そんな心を利用したのが、イリスだ。
魅了の力を無自覚に与えられ、傀儡のように利用された。
それに対する“怒り”は、未だに燃えている。
「(そうだ。俺はイリスに絶対辿り着く。俺を利用した報いを、受けさせる……!)」
“怒り”を再認識し、それを“意志”として繰り出す。
「ッッ、ぉおおおおおお―――」
「―――ぁあああああああああああッ!?」
だが、攻撃として放つ前に、上空から帝が落下してきた。
神夜どころか、“天使”すら巻き込み、衝撃でクレーターを作りだす。
「ッッ……!?」
それを追撃するように、“死闘の性質”の神が現れる。
優奈達を素通りし、帝へ向かう神だが、同時に置き土産を放っていた。
「(引き離された!?)」
単純な理力の弾でしかないが、その威力と速度が段違いだ。
導王流を以ってしても大きく後退させられてしまう。
葵に至っては、直撃して遠くへ飛んで行ってしまった。
「(まずい……!)」
三人ともバラバラになるのはまずい。
幸い、神夜と葵を追撃しに行った“天使”は“死闘の性質”が一人ずつだ。
だが、優奈は残りの三人を同時に相手にしなければならない。
合流が望めない今、一人でこの状況を切り抜ける必要がある。
「ッ!」
理力の弾と刃が振るわれる。
さらに優奈を上回る速度で“死闘の性質”の“天使”が肉弾戦を仕掛けてくる。
「―――、シッ!」
導王流で物理攻撃を凌ぎ、圧縮した理力の弾で他二人を牽制する。
一瞬のミスも許さず、的確に攻撃を捌く。
特に、援護に徹する“可能性の性質”の“天使”は要注意だ。
“可能性”を操る事
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ