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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第280話「死闘の先を掴むのは」
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傷つける事はない。
 だが、二人の死闘ぶりを見て神夜は息を呑み、茫然としていた。
 そんな神夜に、優奈が呼びかける。

「『貴方は、何のためにここに来たの!?世界を救うだとか、そんな大義名分じゃない。正真正銘、貴方だけの“意志”は、一体何なの!?』」

「俺の……“意志”……」

 手に力が籠る。
 自分にとっての正義を成すための力は失った。
 それでも、自分は正義の味方でありたいと、善人でありたいと思っていた。
 例えそれが偽善だろうと、空回りしていようと、それだけは変わっていない。

「(でも、違う。俺はそんな考えでここに立っていない)」

 思い出す。自分が何を考え、最後の戦いに赴いたのかを。
 正義のためじゃない。そんな考えを掲げられていられる程、神界は甘くない。
 だからこそ、自分なりの“意志”を抱く。

「(―――怒りだ)」

 神夜は一流のバッドエンドより三流のハッピーエンドが好きだ。
 偽善的ではあるが、善人でありたいと思っていた。
 そんな心を利用したのが、イリスだ。
 魅了の力を無自覚に与えられ、傀儡のように利用された。
 それに対する“怒り”は、未だに燃えている。

「(そうだ。俺はイリスに絶対辿り着く。俺を利用した報いを、受けさせる……!)」

 “怒り”を再認識し、それを“意志”として繰り出す。

「ッッ、ぉおおおおおお―――」

「―――ぁあああああああああああッ!?」

 だが、攻撃として放つ前に、上空から帝が落下してきた。
 神夜どころか、“天使”すら巻き込み、衝撃でクレーターを作りだす。

「ッッ……!?」

 それを追撃するように、“死闘の性質”の神が現れる。
 優奈達を素通りし、帝へ向かう神だが、同時に置き土産を放っていた。

「(引き離された!?)」

 単純な理力の弾でしかないが、その威力と速度が段違いだ。
 導王流を以ってしても大きく後退させられてしまう。
 葵に至っては、直撃して遠くへ飛んで行ってしまった。

「(まずい……!)」

 三人ともバラバラになるのはまずい。
 幸い、神夜と葵を追撃しに行った“天使”は“死闘の性質”が一人ずつだ。
 だが、優奈は残りの三人を同時に相手にしなければならない。
 合流が望めない今、一人でこの状況を切り抜ける必要がある。

「ッ!」

 理力の弾と刃が振るわれる。
 さらに優奈を上回る速度で“死闘の性質”の“天使”が肉弾戦を仕掛けてくる。

「―――、シッ!」

 導王流で物理攻撃を凌ぎ、圧縮した理力の弾で他二人を牽制する。
 一瞬のミスも許さず、的確に攻撃を捌く。
 特に、援護に徹する“可能性の性質”の“天使”は要注意だ。
 “可能性”を操る事
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