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Fate/WizarDragonknight
奪い合う者たち
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ちょうど土の盾にファントムが激突し、動けなくなったところで、ウィザードはキャスターを見上げる。指輪を取り換えながら、こう呟いた。

「相変わらず……滅茶苦茶だな」

 聞こえているのだろうが、キャスターはにこりともしない。彼女はどこからか取り出した、辞書のように分厚い本を放った。その本は彼女の傍らで浮遊し、パラパラとページがめくられていく。

「……ディアボリックエミッション」

 彼女が唱えたそれは、広範囲の黒い球体。キャスターを中心に黒い球体がどんどん広がっていく。

「やばい!」
『ディフェンド プリーズ』

 ウィザードは、再び今使った指輪を使用。目の前にまた新たな土壁が現れた。
 バングレイも、大きく飛び退き、球体から回避。
 やがて、土塊をファントムごと崩壊させるキャスターの攻撃はウィザードを大きく弾き飛ばした。

「くっ……」

 ウィザードはハルトに変身解除させられる。だが、上空の戦いは、まだ終わっていなかった。



「バリ!」

 不意打ち。背後からのバングレイの斬撃を、キャスターはノールックで回避した。

「はっ!」

 それに対する、キャスターの反撃。彼女の手から発射された黒い光線は、迷うことなくバングレイを捉え、大きくダメージを負わせる。

「バリやるじゃねえか……なあ?」

 地面にて片膝をつくバングレイ。
 だが、いまだにベルセルクの剣は彼の手元にある。
 キャスターは目当ての物を凝視しながら言った。

「それを渡しなさい。手荒な真似をする必要もない」
「ヘッヘッヘ。慈悲深いねえ」

 バングレイはベルセルクの剣を改めて口元に収納した。

「この世の中は奪うか奪われるか! バリ欲しいんだったら、オレから奪ってみやがれ!」

 その言葉により、キャスターの目つきが変わった。
 鋭い眼差しで、一気に急降下。瞬時にバングレイの目前に現れた。
 腰を落とした体勢の彼女は、右手に黒い光を宿しながら、それをバングレイに叩きつける。

「!」

 そのダメージは、バングレイにとっても予想外のものだったのだろう。大きくのけ反り、うめき声をあげている。

「だったら……今度はこっちの番だ!」

 だが、バングレイはそれでも鎌を振り上げる。少し驚いた表情を見せたキャスターは、右手の籠手で防御した。

「隙あり!」

 そのままバングレイは、キャスターの頭部を掴もうと手を伸ばす。

「っ!」

 キャスターは素手で防御し、蹴り上げた。

「ぐおっ!」

 鎌で防御したバングレイへ、さらにキャスターは追い打ちをかけた。
 徒手空拳で何度も突き上げ、上空へ動けなくなったバングレイへ、両手を伸ばす。

「潰えよ」


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