ベルセルクの剣
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ンと震わせた。
「な、何?」
「いや、なんか一瞬ボーっとしてたけど。大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫」
「そう?」
言い張る響にそれ以上詰め寄ることもなく、ハルトは解説をさらに進める。
「へえ。オーパーツには、聖徳太子の持ち物もあるんだ。地球儀か」
「聖徳太子? って、えっと……」
「馬小屋で生まれた、十一人くらいの声聞き分けられる人」
「あー、歴史の授業で習ったような習ってないような……」
「……うん。歴史は同じなんだね」
「ちょっとハルトさん。その哀れみに富んだ無情な目はなんですか?」
「いや。何でもない」
「え? ちょっと!」
ハルトはそのまま響から逃げるように足を急ぐ。
ベルセルクの剣をもう少し眺めてもみたかったが、響から逃げる方を優先した。
すでに行列を終え、もうそろそろでこの展示会も終わる。
その時。
警報。
「な、なに!?」
静かな展示会に、突如鳴り響くベル。
警備員も、ガイドも、来場客たちも、それぞれが何事かと慌てている。
「どうしたんだろう……」
やがて、ハルトのもとへ駆けつけてきた警備員が、耳元の無線で連絡を取っている。その時の彼の会話が、ハルトの耳にも飛び込んできた。
「現在、特別会場には問題なし。……ん? 宇宙人?」
宇宙人。この状況での突拍子のない言葉に、ハルトは耳を疑った。
「ねえねえ。ハルトさん」
後ろから、響が肘でハルトを小突いてきた。
「今あの人、宇宙人って言った?」
「俺の耳が壊れたんじゃなかったら、多分聞こえたと思うよ」
「だよね? まさか、イベントとかじゃ……」
「そんなの聞いてないけどな」
ハルトがそう言っている途中で、ベルセルクの剣の展示、その天井が、発泡スチロールだったかのように粉々に崩れた。
会場を一気に埋め尽くす土煙が、ハルトたちの視界を覆う。
悲鳴の中、何者かが瓦礫を踏み砕く音が聞こえた。
「__________」
それは、何の音なのかは判別不能。だが、その無数の音声パターンから、それが言語なのではないかと感じる。
「な、なんだアイツ……?」
ただ者ではない。そう感じたのは、ハルトだけではなく響も同じだった。
青い人型の怪物。全身がまるで鎌のように円形の刃物となっており、首と体は、無数のパイプのような器官で繋がれている。左手は鎌の義手になっており、その姿も相まって、海賊と呼びたくなる。
青い怪物は、意味不明な言語を発生しながら、我が物顔で特別展会場を闊歩する。途中の他の客を殴り倒し、人を無視しながらベルセルクの剣を、その八つの目で見上げた。
「下がりなさい! でなければ撃つ!」
逃げ惑う人々
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