第13話
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ジスタンスの拠点に戻らなければと思い立ち、起き上がろうとする。
「目が覚めた?」
聞き慣れた女の声が暗闇から聞こえる。そこに居るのはオーラで間違いないと身構える。しかし、暗闇から現れた彼女の姿は、俺の想像の斜め上を行くものであった。俺は棄却しそうになる思考を僅かに動かして問う。
「イヤ、あの」
「何?ああ、もしかして私の美貌に見蕩れちゃった?」
「・・・・・・なんで裸なの?」
「はぁ?このムード。この空間。そこに男と女がいたら、やる事は一つに決まってるじゃない」
これでもかと、己のあられもない裸体を見ろと言わんばかりに仁王立ちしながら言い返すオーラ。この女、相当なまでに依存症らしい。・・・・・・やはりまとも話せると聞いた俺が馬鹿であった。
「いやしないから。・・・・・・それより、あのアナザーライダーの事で聞きたいことがあるんだけど」
「そうね・・・・・・私をイかせられたら教えて上げてもいいわ」
「君って、もしかしてそれしか頭にない?」
「童貞のアンタに言われたくないわよ」
童貞じゃねーよ。と呟きかけるが、これ以上会話に生産性が無いことに気づき口を閉じる。オーラは溜息をつきベッドへと腰掛ける。暫しの沈黙を経た所で、彼女が口を開く。
「・・・・・・アンタが戦ったアナザーライダー、どうだった?」
「・・・・・・まあ、強かった。お前が見てた通りボコボコにされた。だけど、それだけじゃないって思った。アイツは多分」
「アナザーライダーの力を複数溜め込んでいる。少なくとも、3つはね」
3つ?ヤツが使っていたのは宇宙の力を宿しフォーゼと、魔法の力を宿すウィザード。どちらも恐ろしく脅威ではあったが、それに加えて隠し球をまだ持っているという事なのか。果たしてそれらを駆使され再び相対した時、自分は今度こそ勝てるのだろうか。
不安から僅かに震えた俺の手を、オーラは何故か手を重ねてくる。それに驚き彼女へと視線を向けると、オーラは確信するように呟く。
「アンタなら大丈夫よ」
「・・・・・・根拠は?」
「は?ないわよそんなの」
「はあ?」
でも、と彼女は言葉を紡ぐ。
「強いて言えば、女のカンってやつかしら?」
「なんだそれ…まあ、サンキュー」
なんだかはぐらかされた気がして納得してはいないが、こんな裸体を晒してる奴でも窮地を救ってくれた恩人ではあるし、先程の言葉も自分を鼓舞させようとしたのは何となく気づいている。そう軽い気持ちで感謝をしたつもりだったのだが、当の彼女はというと面食らったような表情を浮かべている。
「……なんでそこで感謝すんのよ」
「別に、ただお礼を言いたかったから。理由なんて、そんなもんでいいだろ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ