第13話
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った。何かあればいつでも私に言ってくれ」
ウォズさんの気遣いに、私は無事の意を示す。今日は何だか良くない日だ。今まで使ってたお皿の中でも可愛くて結構お気に入りの方だったのになあ、と思いながら、皿だった欠片を広い集めてゴミ箱へと入れていく。
ふと、窓際に視線を向ける。外の空模様も、何だか雲に覆われ始めてる。黒い雲はあっという間に外を覆うと、濁った嫌な大量の雨粒が大地に降り注ぐ。今日は曇りになるとは分かっていても、雨が降るとは天気予報では言ってなかったのに。
「あの、ウォズさん」
「何かね」
「お願いがあるんです」
「その、―――」
ただ偶然が重なっただけかもしれない。それでもなんだか、嫌な予感がする。まるで、彼にも良くない事が起こりそうな気がして、気が気でなかった。
私は意を決してウォズさんにお願い事を口にする。ウォズさんは無言で私のお願い事を聞き終えると、力強く頷いて、静かな口調でそれを了承する。
「任されよう。彼の事は任せてくれ」
ウォズさんはそう言うと、首に巻いていたマフラーを軽く振るう。するとあろう事かマフラーは材質を変えたように滑らかに動き始め、彼を包み込むと、そのまま姿をくらました。どんな原理を用いればそうなるのかと唖然とするだけど、これでいい。
「アラタ君・・・・・・」
日は浅いながらも、一緒の屋根の下で生活している、1人の男の子。常に寄り添い、共に笑ってくれる。他人のために、何処までも手を差し伸べる温かい人。最初はお節介から彼を呼び止めたけど、何時しか私の方が彼に支えられている。けど、彼もまた、この世界を守るために戦う戦士だ。怪物が現れれば彼は死の最前線に赴かなきゃ行けないし、いつでも一緒にいられるとは限らない。かといって戦っている彼に対して、私のやれる事なんてたかが知れてる。
だから、私はこの家を守る。戦いから彼が、心を休める唯一の場所を、残す為に。それが私の戦いなんだ。
「さて、今日の晩御飯は・・・・・・」
彼が無事にまたこの家に帰ってくるのを信じて、私は夕食の支度を行うために冷蔵庫の扉を開いた。
ーーーー
「・・・・・・っ」
甘ったるい香水のような匂いに耐えきれず、ぼんやりとする目を無理やり開く。そこに映るのはやや曇が差す空──ではなく、天井。あの後、誰かによって別の場所に隔離されたらしい。
痛む体を無理矢理起こして辺りを見回すと、薄暗い部屋の中を僅かに照らすランプが置かれている。後は、自分が寝そべっているこのベッドと、物を入れるタンス、空調設備するためのクーラーが掛けられてる。この部屋は余りにもシンプルながら、どこか妖艶で、尚且つ退廃的であった。
取り敢えず部屋を出て、レ
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