暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
794年1月号アライアンス・ポリティカ誌より
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
も、【自由惑星同盟】社会の基本的な価値観に対する挑戦が始まりつつある。
 例えば、反戦市民連合急進派のトップであるシャルル・ダイドー氏のように、「平和のための社会設計主義」を掲げ、同盟主導の【交戦星域】からケンタウルス腕航路開拓への再入植――つまりさらなる距離の防壁を作ろうということじゃの――や上院の一票の格差解消など、かつてであれば「反同盟的」としてまったく無視されるような主張が少なからぬ人々から支持されておる。 これはほんの十年前には考えられなかったことじゃ。
 反戦と同盟懐疑主義が同一文脈ある最大の理由は自由主義と分権的連邦主義を論拠とするのが伝統じゃった。
 同盟政府による戦時統制への反対が多数派である反戦主義者が軍縮の代償に同盟政府による社会保障の拡充や【交戦星域】への弾圧に非常に大きい変化じゃ。
 そうした意味では強硬右派の人民防衛運動よりも興味深いと感じるの。

オリベイラ氏
 既存の構成邦分権主義と同盟集権主義、個人主義的ハイネセン主義と共同体的ハイネンセン主義だけではない。少数勢力同士であった反戦急進派と対帝国急進強硬派の対立はまったく別の軸として同盟世論に浮上しつつある。また、非常に深刻なのが市民生活を支える労働者の不足と労働単価の高騰だ。地域産業に対し労働力の不足は大きな負担になっている。帝国軍の侵攻による国民生活への負荷を人的資源、財政支援、そして流通の安定の確保と各方面から如何にコントロールするかがこれからの政権に問われるだろう。



サンフォード政権と交戦星域の距離

――政権の課題として戦争と民政のバランスが課題に挙げられました。前線に近い交戦星域から見たサンフォード政権はどのように見えるでしょうか

エプレボリ氏
非常に難しいところですの‥‥三党の連立で調整を行うだけではなく上院での多数派工作も必要になる。上院では今も国民共和党系や労農連帯党系政党出身の弁務官が多いのじゃが。彼らはそれが利益をもたらすから協力しておるのに過ぎん。それは【民主主義の縦深】も同じじゃて。だからこそ彼らと政府の交渉が重要になるじゃろう。同盟世論と各構成邦世論の違いは明確じゃ。


オリベイラ氏
サンフォード氏はシロン農産共和連合出身で地域社会委員副委員長、最高評議会書記、国務委員長など上院との連携が必要なキャリアを数多く積んでいる。
カーティス氏を始めとした地域政界出身を中心とした人事が目立つ、上院への配慮を最大限に行うつもりだろう。弁務官と構成邦世論次第ではあるが原則としてサンフォード政権は同盟全土を包括的に保護しなくてはならない。それは良くも悪くも三党連立という状態が導く結果だ。


エプレボリ氏
現在国防委員長の最有力候補とされているトリューニヒト氏は下院安全保障委員会の議事運営理事の経験もあ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ