雪空の噴水
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ュゥべえという名前の妖精は、ハルトをじっと見つめて離さない。
『先の戦闘。勝ち残ったんだ。少しは心の変化とかあったかなと思ってきただけだよ』
「……あるわけがない」
『へえ。ないのかい?』
無表情なのに、なぜか見透かしたようにキュゥべえは続ける。
『以前君は、アサシンのマスターを戦闘不能にした。そして今回は、バーサーカーのマスターを手にかけた。それでも君は、戦いを止めるために動いているというのかい?』
「……」
ハルトは何も言わなかった。
言えなかった。
聖杯戦争。この見滝原で行われている、願いをかけてのバトルロワイアル。
ハルトも巻き込まれ、強制的に参加させられているこの戦いは、すでに二回、世間を騒がせる事件を起こしている。
一度目は、見滝原中学の謎の変質事件。校舎を含む敷地が赤黒の結界となり、怪物がはびこる世界となってしまった。結果、生徒二人の犠牲が出てしまった。
二度目は、見滝原中央病院院長、フラダリ・カロスによる、アマゾン化支配計画。病院の水を飲んだ人がアマゾンと呼ばれる怪物に変異し、見滝原全域にパニックを引き起こした。今は完全に終息したものの、犠牲者の数は四千人にも上る。
その時、中心にいたマスターを倒したのは、いずれもハルトだった。
中学を変異させた我妻由乃は、ハルトが倒したことにより、全ての力を失い、結果的に何者かに無抵抗に殺されている。
そして、病院で、アマゾン化と決して無関係とはいえない少女、クトリ・ノタ・セニオリスの命を奪ったのも、間違いなくハルトの蹴りだった。
『なるほど。戦いをしないと近づいておいて、油断させたところを不意打ちするのが君の定石なんだね』
「違うよ」
ハルトは断言した。
「あれは……」
『違うというのかい?』
「……」
『まあいいさ。別にルール違反でもない』
「お前……本当にそれだけを言いに来たのか?」
『まあね。あ、どうしても用事が必要なら、これだけは言っておこうかな』
キュゥべえは去ろうと足を少し動かした状態で言った。
『また、新しいマスターを任命したよ』
「っ!」
マスター。つまり、聖杯戦争の参加者がまた増えたということ。
そして、また犠牲者を生み出す戦いが始まるということ。
『そして彼は、君……というより、君たちにとっての最大の敵になるんじゃないかな?』
「どういう意味だ?」
『それを教えたら、監視役としてやってはいけないことだからね。まあ、無理矢理用事を作ったから。君も納得してもらえたかな?』
そのままキュゥべえはは、噴水の頂上へ飛び乗る。水が跳ねあがるが、他の人々からは見えない妖精のため、不審な水の飛び散りに見えるのだろう。
『これも君たち人
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