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幻の月は空に輝く
日向の自己主張は白眼だ
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く突く。

《ラン。恐らくソレは日向のヒザシの死だろう》

「あ……」

 あっさりと言われたテンの言葉に、私は目を見開いたまま両腕を力なく垂らす。
 言葉がないというのはまさしくこの事を言うんだろうか。
 すっかりと忘れてた日向の事件。
「……ッ。ネジは…」

《呪印を押されてはいる…な》

「そ…だよね」
 この世界で会った事はないけど、知っている死を防げないっていうか、忘れきってたっていうのは結構くるっていうか。
 何とも言いがたい表情で項垂れる私に、テンは宙でくるりと回り私と同じぐらいの子供の姿になる。
 銀の髪に青い瞳。色彩は私と同じ。
 ぺちぺちと私の頬を小さな手の平で撫でるように叩くテン。

《ラン。そなたは、我と契約を結んだ。故に生れ落ちた後は自由が利かぬ》

 ジッと私の目を真っ直ぐに見つめ、言い聞かせるようにゆっくりと言葉を紡ぐ。確かに私は生まれた直後から普通の赤ん坊よりも自由が利かなかった。よくある話しで、強大な力が身に宿り、それを身体に馴染ませる為に結構な年数がかかったのだ。
 ひょっとしたら、無垢な魂じゃなかったから時間がかかったのかもしれない。今のナルトを見ると私みたいな事は起こらなかったみたいだし。
 私の場合は四歳を過ぎるまで、自分で歩く事が出来ずに両親に抱っこされて育ったんだよなぁ。その時、カカシやイタチや、他のお客さんにも抱っこされながら育ったから、鍛冶屋のお客さんとはかなり仲良しだったりもする。
 何か寝たきり?の私がこうして修行したりしてると、感無量みたいでね。


「よしっ」
 パンッと自分の両手で頬を叩いて気合をいれる。
「日向に行ってみよう。父さんの納品についてく」
 
《うむ》

 となると父さんの仕事状況の確認だね。
 私は置きっぱなしになっている道具を片付けて、足早に居間へと向かう。今頃父さんはお茶の時間。母さんと一緒にのんびりとお茶を飲んでるから、居間にいるのは間違いないはず。





 けれど珍しく父さんがお茶してなくて、どうしたのかなって思いながらも出入り口まで行ってみたらお客さんの姿。常連の人はこの時間帯は外すから、慣れてない人だろうなぁ、って思ってたんだけどね。
 背中が邪魔で来客の姿がまったく見えないんだけど、基本常連さん以外は私には関係ないから、お仕事の邪魔をしないように壁に背をつけて様子を見るだけにしておく。

「クナイかぁ。俺はクナイよりも刀や小刀の方が多いしな。希望通りの品は難しいと思うがなぁ」
 ぼりぼりと後頭部を掻きながら、しみじみと言った口調で父さんがお客さんに話してる。うん。みみっちいのは性に合わないって常日頃言ってるもんね。だからクナイなんかは一般的なものしか打ってないけど…それじゃ駄目な
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