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幻の月は空に輝く
敵は敵でも好敵手?
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に速い。
 イタチがいつ取りに行ったかなんてまったく気がつかなかったけど、喉がカラカラで水は助かったと頭を軽く下げながら受け取る。
 コクコクと一気に水を飲み干し、乾いた喉を潤す。サスケも一気に飲み干して、やっぱ私を睨み付けた。
 …私を睨み付けるのが標準装備になったのか。

「イタチさん。俺に、弟さんの相手は無理ですよ」
 こんなに嫌われてちゃ友達は無理だよね。私に対して、何でか睨むのが標準になったみたいだしね。
 そんなわけでイタチにはごめんなさい。
 何かサスケの友達にしたがってたみたいだけど、私には荷が重いとあっさりと放棄。
「そうか?」
「うん。無理」
 イタチの不思議そうな声音に、迷わずに頷く。
「友達は、嫌われる存在じゃない」
 あんな腹に色々なものを抱え込んでいるナルトでも、最近では随分と仲良くなってくれたと思うんだよね。
 他愛ない日常会話も増えてきたし。
 何より笑う回数が増えた。
 ナルトとの友達の道を着々と歩んでいる私としては、今のサスケの関係は友達っていう感じはまったくしない。
 もう一度イタチを見上げ、そのままサスケに視線を移す。
「弟さんも俺ももうじきアカデミーだろ。友達ならそこでつくれる」
 だから、私じゃなくてほのぼのと会話の出来るお友達を見つけてね。そんな意味を込めて、会話に幕を閉じた。


 つもりだった。


 何でかイタチには肩を竦められ。
 サスケには般若の表情を浮かべられ。
 おまけとばかりに肩にとまっていたテンには、状況を把握しろと言わんばかりに頬を軽く突かれる。
 というかサスケ。それは五歳児の表情じゃない。
 そして空気の読めないイタチに肩も竦められたくないんだけど、そう思うのは私だけだろうか。
「お前なんか友達になるはずがないだろッ!!!」
 ビシィっと叩きつけるような勢いで指を指され、サスケはフン、と言いながらさっさと建物の中へと戻っていく。
 一体何だ。
 何が言いたいんだ?
 だから友達は無理だって言ってるのに、友達になるはずないって…。

「サスケは素直じゃない」
「そうでしょうね」
 そりゃ、イタチへの態度を見てればよくわかる。
「一度負けた相手に背を向けるような性格でもない」
「……へぇ」
 確かにそうっぽいよねぇ。
 ん。つまり何だ。イタチのフォローの意味を考えてみたら一つの言葉が思い浮かぶ。

「つまり、敵は敵でも好敵手(トモダチ)認定?」

「つまりも何も、見たままだけどな」

「………」

 何だろうなぁ。
 イタチにこういう事言われるのって何かダメージがあるんだよなぁ。
 空気を読めないわけじゃないのに、天然疑惑が発生したイタチよりも空気が読めない感じになると、地味にへこむんだよな
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