第1部
ポルトガ〜バハラタ
バハラタ東の洞窟
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と、アルヴィスさんもそう思ってるよ」
「ミオちん……」
泣き止むシーラの涙を、私はそっと拭ってあげた。
「ねえ、もしかして、アルヴィスさんにもホントのこととか言えなかった?」
私の言葉に、シーラの体がぴくりと反応する。そして無言で頷いた。
「でも、それはそれでいいんじゃない? そのときは言えなかったんでしょ? きっとそういうところも全部、アルヴィスさんはわかってくれてると思うよ」
「そう……かな?」
「そうだよ! でなかったら、あんなにシーラのこと心配してないもん! アルヴィスさんの人のよさは、シーラが一番よくわかってるんじゃないの?」
そこまで言って、つい強い調子で声を発していることに気がついた。
「ご、ごめん。つい調子に乗っちゃって。責めてる訳じゃないんだ」
「ううん、あたしのほうこそ、言いたいことベラベラ言っちゃってごめんね」
「それこそ謝らないで。シーラが色々話してくれたから、嬉しかったよ」
「嬉しい? どうして?」
「だって、アルヴィスさんにも言えなかったことを私に言ってくれたじゃない。なんか私だけ特別って気がして」
ふと、カザーブでユウリに自分のことを話したときのことを思い出した。今ならあのときユウリが言った言葉が少しわかる。
「なんでかな、ミオちんになら話してもいいかなって思ったんだ」
「話してみてどう? ちょっとはスッキリした?」
「うん、なんか心のモヤモヤがちょっとなくなったかも」
「また何かモヤモヤしたら私、いつでも話聞くからさ。いっぱい愚痴を聞かせてよ。それにさ、困ったことがあったら、いつでも力になるから、遠慮なんかしなくていいからね」
「ありがとう♪ あたしもミオちんの悩みとか聞くよ。例えば……ユウリちゃんのこととか」
「ユウリのこと? 何の話?」
「んー、ミオちんいっつもユウリちゃんに意地悪されてるよね? 嫌じゃないの?」
「いや別に……。最初は確かに嫌だったけど、今はあんまり気にならなくなったというか……」
「ダメだよミオちん! それってただ慣れただけだから! 嫌なら嫌って言わないと!」
なんだか異様にシーラが興奮している。うーん、言われてみれば、髪の毛引っ張られたり頬をつねられたりと、割と今のほうがひどい目にあってる気がする。
「シーラの言うとおりかも。一度リセットして考えてみるよ」
私の答えに、うんうんと力強く頷くシーラ。なんだか私も客観的な答えを得られたことで、環境に慣れた自分を見直すきっかけができた気がする。
「話してたら随分遅くなっちゃった。いつ二人が来るかわからないし、ちょっと一眠りしようか」
「そうだね、おやすみミオちん☆」
「おやすみ、シーラ」
空腹と眠気が激しくせめぎあう中、先に勝ったのは眠気の方だった。私たちはお互い寄り添いながら、
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