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レーヴァティン
第百九十話 空からの急襲その三

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 一隻の空船が出た、船はすぐに全速力でペテルブルグの空に入り。
 無数の対空攻撃を超えて王宮に向かって行った、久志はその空船を見送ってから周りの者達に対して言った。
「じゃあ俺達はな」
「はい、後はですね」
「吉報を待つ」
「そうするのですね」
「これより」
「あいつ等が全員行くんだ」
 十二人の仲間全員がというのだ。
「それだったらな」
「もうことは成った」
「そう言われますか」
「失敗する筈はないと」
「左様ですか」
「そうさ、まあ敵は俺達が動いてな」
 ここで敵軍を見た、見れば敵軍は明らかに右往左往していてそれでどうしていいかわからない状況だ。
「混乱してるな」
「まさか王宮の方に行かれるとはですね」
「思っていませんでしたね」
「それでどうしていいかわからず」
「慌てふためいて」
「乱れていますね」
「ここで敵軍を攻めたら絶対に勝てるさ」
 久志はこのことはクールな口調で述べた。
「もうな」
「そうですね」
「あれだけ乱れていますと」
「只でさえ民を無理に引っ張ってきた者達です」
 それも着のみ着のままである。
「数がいるだけで」
「そうした軍勢ですし」
「普通にまとまりもなく練度も士気もお話になりませんが」
「さらに乱れていますので」
「ここで攻めれば」
「もう絶対に勝てるけれどな」
 それでもというのだ。
「民だからな、だからな」
「はい、我々が戦うのは軍勢です」
「あくまでその者達なので」
「それで、ですね」
「我々としては」
「あの者達は」
「あっちが攻めてこないならな」
 それならというのだ。
「もうな」
「こちらは守りを固めて」
「そうしてですね」
「それで、ですね」
「敵を寄せ付けない」
「攻めてきてもな」
 例えそうなってもというのだ。
「守りを固めてな」
「迎え撃ち」
「そうして追い返す」
「そうしますか」
「ああ、けれどそれはないな」
 久志は敵軍を見て言った。
「今あちらが攻めて来ることは」
「そうですね」
「あの国は独裁国家です」
「王の命で全てが動く」
「そうした国です」
「その王が襲われてです」
「その守りに神経を集中させているとな」
 そうした状況ならというのだ。
「もうな」
「はい、攻めるどころではないですね」
「我々を」
「それどこかですね」
「そうした状況ですね」
「今の連中はな、頭は大事でもな」
 このことは事実でもというのだ。
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