第一章
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百万分の一の猫
テキサスの病院で勤務している獣医ランディ=ジョーンズはその猫を見て驚きの顔で周りに言った。
「いや、まさかだよ」
「スコティッシュフォールドで、ですね」
「それも雄で」
「それで、ですね」
「うん、三毛なんて」
ジョーンズは驚きの顔のまま言った、短めの金髪で濃い髭を生やし青い目である。背は一八四程でがっしりした体格だ。
「僕もはじめて見たよ」
「先生もですか」
「ご覧になったのははじめてですか」
「雄の三毛猫は」
「スコティッシュフォールドのね、両親の染色体の関係で」
それでというのだ。
「滅多に産まれないよ、産まれる確率はね」
「どれ位ですか?」
「それは一体」
「かなり低いみたいですが」
「どれ位の確率ですか?」
「百万分の一だよ」
ジョーンズは看護士達に話した。
「それはね」
「百万分の一ですか」
「それは凄いですね」
「百万分の一なんて」
「滅茶苦茶低いじゃないですか」
「そうだよ、スコティッシュフォールドが百万匹いるね」
そうしてというのだ。
「その中でだよ」
「一匹ですか」
「物凄く低い確率ですね」
「天文学的とはこのことですよ」
「そこまで低いなんて」
「だからだよ」
本当にというのだ。
「僕もこれまで色々な猫、スコティッシュフォールドも見てきたけれど」
「はじめてって仰いましたね」
「今実際に」
「そうでしたね」
「うん、何しろ百万分の一だからね」
それだけの確率だからだというのだ。
「はじめてだよ、存在していることは聞いていたけれど」
「ええ、それでなんですが」
「この子の飼い主ですが」
「母親と父親は」
「誰かな、他に兄弟もいるけれど」
その猫も合わせて五匹いる、他の子達は普通のスコティッシュフォールドだった。少なくとも外見はそうであった。
「この子は本当にだよ」
「百万分の一の」
「そんな娘で」
「かなり貴重なんですね」
「その子の飼い主の人に話さないとね」
是非にとだ、スティーブは言ってだった。
そのスコティッシュフォールドを彼の家族と共に引き渡す時に飼い主であるロザリー=フッドテキサスで大きな牧場の娘である彼女にその猫のことを話して言った。
「こうした事情で」
「そうですか」
「この子は凄い稀少な子です」
「百万分の一の」
「はい」
まさにというのだ。
「そうした子です」
「そうですか」
「ですから」
それでというのだ。
「そんな子を授かったのですから」
「だからですか」
「貴女とご家族にはです」
まさにというのだ。
「そこまでの幸せが授けられたので」
「だからですね」
「神に感謝して下さい」
こうロザリーに話した、黒
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