第一章
[2]次話
次第に落ち着いてきた子達
カナダ西部のアルバータという街にいるスティーブ=ホーリックはウィジーという犬を飼っている。ウィジーはイタリアングレーハウンドの雄でありダークグレーの毛で腹は白く身体は非常に痩せている。
その彼を観ながらだ、スティーブは妻のクリスティーナに話した。
「この子は大変だったみたいだね」
「保護団体の人がお話していたわね」
赤がかったブロンドの腰までの髪の毛と緑の目を持つ初老の彼女は腹に脂肪がついてきていてグレーの目と白い薄くなってきた髪の毛を持つ大柄な夫に応えた。
「そんなことを」
「前の飼い主が酷くてね」
「大きな音を立てていつも驚かせて」
「そうして躾けていたんだよ」
こう妻に話した。
「イタリアングレーハウンドは敏感で大きな音を怖がる子が多いというけれど」
「そんな子にそんなことするなんて」
「酷い飼い主もいたものだ」
「そうよね」
「だから僕達はね」
「この子は静かに育てましょう」
「幸いうちは静かだしね」
「ええ、しかもここはカナダよ」
妻は夫に微笑んで話した。
「だからね」
「静かなお国柄だからね」
「目立たないとも言われるけれど」
それでもというのだ。
「そうしたお国柄だし」
「だからね」
それでというのだ。
「僕達はこの子をね」
「静かに飼っていくのね」
「そうしよう、今は僕達を見て凄く怯えきっているけれど」
目にも態度にも出ている、縮こまってガタガタ震えている。
「それをね」
「少しずつでもね」
「怯えない様になる様にしていこう」
「それがいいわね」
二人でこう話してだった。
夫婦そして既に独立していて時々家に来る息子や娘と一緒にウィジーを育てていった、するとであった。
徐々にだ、ウィジーは家族に懐いてくれた。それで散歩も普通にする様になったが。
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