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渦巻く滄海 紅き空 【下】
四十四 視界不良戦線
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ぶ。
油断なく身構える再不斬の視線の先で、煙が晴れてゆく。
地面に大きな穴。その傍らに無事な姿で佇む角都に、コテツは舌打ちした。


「その通り。やはり木ノ葉は甘いな」

再不斬に同意を返した角都は、地面に空いた大きな穴を見下ろして嘲笑する。
コテツの大きな槌は自分に掠りもせず、ただ地面に穴を掘っただけ。
無駄な足掻きだ、と嘲笑う角都の背後の地面が、直後、盛り上がった。


「今だ…!」

くいっ、と指を動かす。コテツの指に合わせて、地面を掘り進んだ先ほどの鳥型の槌が角都を背後から襲った。
それをかわそうとした角都は、ふと足が動かないことに気付く。

「なに…っ」
「かかったな!!」


既に湖と化しているこの場。
そこに先ほど印を結んだイズモが【水遁・水飴拿原】を混ぜておいたのだ。
チャクラを混ぜて粘度を高くした水。角都の足元にだけ集中してイズモが仕掛けておいた罠である。

急に足を取られて動けなくなった角都が「チッ、」と舌打ちする。
見た目はただの水と変わりはしないので、再不斬の【水遁・大瀑布の術】によってできた一面の水の上に立っていた角都は、イズモの仕掛けた術に気付けなかったのだ。

絡め取られた足。
その一瞬の隙を見逃すわけにはいかない。
避けられた槌を握りしめ、コテツが「もらった!」と角都に飛び掛かった。




「だから────甘いと言っている」

しかしながら、直後、角都の腕が切り離される。
切り離した腕がコテツの首を締めあげた。

加勢しようとしたイズモの首にも、触手を操り、腕で縛り上げる。

ぐ…と苦しげに喘ぐ木ノ葉の忍びを見て、冷笑を浮かべた角都の背後で「甘いのはどっちだよ」と声がした。





「が…っ」
「両腕使っちまっていいのか?ガラ空きだぜ!!」


胴体への蹴り。身体をくの字に曲げた角都の頭上目掛け、再不斬が首切り包丁を振り落とす。
迫りくる刃物。
寸前、足元の水を角都は蹴り上げた。波が砕け散る。


「グ…!!」
「チ…ッ、浅いか…」


【水遁・水飴拿原】の粘度の高い水。
それを逆に利用して再不斬の攻撃の勢いを殺した角都は、その場からすぐに脱出する。

首切り包丁をまともに受けたはずなのに、傷ひとつ負わない角都に、再不斬は眼を細めた。


「かってぇな…硬化でもしたか?」

土遁の術を使うのか、と暗に問われ、角都はふっと口角を吊り上げた。


「流石は鬼人。木ノ葉とは比べ物にならんな」




皮膚を硬化し、圧倒的な防御力を付与する術────【土遁・土矛】。
更には、その硬さで繰り出される拳はすべてを粉砕する、まさに矛と盾両方の能力を併せ持つ術を見事に言い当てた再不斬に
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