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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第276話「水面に舞う緋き月・後」
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を振るう度にその障壁を割るが、如何せん数が多い。

「ッッ!!」

 “破壊の瞳”を握り、一気に障壁を割る。
 さらに、余波で罅が入った障壁に対して砲撃魔法を至近距離で放つ。
 着弾の爆炎が晴れる間もなく再度突貫し、障壁を割っていく。

縺ッ縺ッ縺ッ縺ッ(はははは)繧ゅ≧驕?>(もう遅い)!」

「ガッ……!?」

 分裂した極光が緋雪を貫く。
 頭の一部を、肩を、脇腹を、手足を消し飛ばされる。
 “バチリ”と、何かが断たれた音と共に、緋雪は吹き飛んで倒れ伏した。

「っ………!」

 緋雪は立ち上がろうとするが、欠けた腕が折れ、また倒れ伏す。

「―――?」

 それを、緋雪は認識出来なかった。
 否、明らかに“意志”による再生速度が落ちている事に気づけていなかった。
 ……もう、それを認識する正気がなくなっていた。

「……ゥ、ルルルルル……」

 最早、獣のような唸り声が漏れる程だった。
 まだ戦えはするが、この状態では勝ち目はないだろう。
 自身の“狂気”を制御出来ないのに、“狂気の性質”の干渉を防げるはずもない。

「ァァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 攻撃の苛烈さは増している。
 しかし、防御も回避もしなくなっては意味がない。
 これでは以前の形態の神と立場が逆転してしまっている。

「ガ、ゥッ!?」

 再び極彩色の閃光に貫かれ、触手で吹き飛ばされる。

「(―――赤)」

 視界に“赤”が広がる。

「(赤、朱、紅、緋、あかあかアカアカあかアカアカアカアカ)」

 血の色、思考を蝕む“狂気”の色。
 様々な“赤”を緋雪が幻視する。

「ァ……は、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 気が付けば、星々を映していたはずの水面は、かつての赤に戻っていた。
 暗雲の代わりに紅い霧が立ち込め、結界内が“狂気”に満ちていく。

 克服したはずの狂気は再燃し、緋雪はそれに呑まれた。
 それに抗う術は、この場にない。





















〈―――お嬢様!!〉

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ッ―――!」

 吹き飛ばされた際に地面に刺さっていたシャルが叫んだ。
 その言葉と共に、仕込んでおいた術式が起動する。
 それは、“狂気”に囚われた際の対策として組み込んでいたモノだった。

「……ぁ……」

 術としては、緋雪自身の思い出と、彼女にとって大切な者達を想起させるモノ。

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