暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン38 パラダイムシフト
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の判断に何も言わず、また足を速める鳥居。しかしそこに待ったをかけたのが、ほかならぬ遊野清明だった。そして結果的に、この異邦人の一言が世界の運命を大きく動かすことになる。

「ごめん、ちょっとだけ待って。どうしたのスライム、竹丸ちゃんのところにいたんじゃ……はあ!?」

 半分警戒、半分「また電波が始まった」という視線も意に介さず、虚空に耳を傾ける清明。のほほんとした表情が一変してみるみる真剣な顔つきになっていく。ややあって小さく舌打ちし、半ば詰め寄るように糸巻へと向き直る。

「糸巻さん、どうなってんのこれ!?ついさっき家紋町で、七宝寺さんが竹丸ちゃん達……鼓さんと笹竜胆さんをデュエルでぼっこぼこにしてこっちに来たって……!?」
「はあ!?ちょ、ちょっと待てお前!本気で何言ってんだ?」
「僕もわかんないよ。でも、今言った通りのことが起きてるって……」
「大体、鼓はフランスだろ?笹竜胆の奴もどこで何してんのかわかったもんじゃないがこの辺の出じゃないし、なんで家紋町にいるんだよ」
「信じがたい話ですが、あながち出鱈目とは言い難いですね」

 お互いに突然飛んできた情報に混乱しながらの言い合いをじっと耳を澄まして聴いていた巴が、そこで冷酷に切り込んだ。

「この際ですから、正直に明かしましょう。まず鼓千輪、笹竜胆千利。この両者を家紋町に呼び付けたのは、私です。これは先ほども言った通りですが、私はあの子供を巻き込むことについては否定的でした。貴女との殺し合いは、より純粋なものであるべきですから。なので何があっても対応してもらえるよう、あの子供と縁の深いあの両者が適当なタイミングで間に合うように計算しました」
「そんなわけわからんことやってたのか……男の妄執は怖い、通り越して気持ち悪いぞ」
「そこの貴方がどうしてあの両者の名前を出したのか、まあ聞かないでおきましょう。ですがその名前を出した時点で、彼女たちが今この時に家紋町にいるという事実をどうやってか知っているということに他ならない。当てずっぽうで出るはずのないその事実を知ることのできる情報網を持っているという時点で、今の話には信憑性が感じられます」
「……」
「糸巻さん……」

 気に入らないという表情を隠そうともせずにぐっと押し黙る糸巻。何か言いかけた鳥居も、その心中でさまざまに巡る思考を察して結局何も言えずに1歩下がる。ややあって、その口が開いた。

「……わかった。爺さんのことはアタシが見て来よう。それと……」

 言いさしてポケットから1本の鍵を取り出し、自分と巴の手首を繋いでいた手錠を開く。意外そうな顔で自由になった手首を折り曲げる巴に、地獄の底から差し込むような鋭い視線を投げつけた。

「アンタは、融解寸前とかいうその中心部の確認。どうせ気になってんだ
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