あの人が大好きな世界
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デッキから、カードを引く。
龍の紋章のカード。これまで、誰一人として、生きている命に向けて使ったことはなかった。戦いを止めるためのものとして、戦いに参加している者に使ったことはなかった。
ドラグレッダーが、上空で待機している。速く使えと言っているようだった。
ドラグバイザーに挿入した。あとは、そのカバーを閉じるだけで、それが発動する。
「真司さん」
その時。
龍騎の肩を、トントンと叩く者がいた。
「友奈ちゃん」
「真司さんだけには背負わせない」
勇者に変身した、友奈だった。
「世界を一度は見殺しにした私だから。私にも、その責任を負わせて」
「……いいんだな?」
「うん」
友奈の手が、ドラグバイザーに乗せられる。
「行くよ」
「……ああ」
そして。
龍騎と友奈は、共にドラグバイザーのカバーを閉じた。
『ファイナルベント』
龍騎と友奈の周囲を、ドラグレッダーが回る。
いつもよりも一拍遅れて、龍騎は舞を行う。友奈も、龍騎とは鏡写しに、力を込め、龍へ舞をささげた。
「まだだ! まだ終わっていない! 動け! 動くのだ!」
アマゾンフレアの言葉に耳を貸さずに、龍騎と友奈はともにジャンプ。
龍騎は腕を。友奈は足を。それぞれ上にして、ドラグレッダーの渦の中を飛んでいく。
そのまま体を回転させながら、
龍騎は足を。友奈は腕を。それぞれ、最後のアマゾンへ向けた。
「だあああああああああああああああああああ!」
「やあああああああああああああああああああ!」
ドラグレッダーの炎と、友奈の花びら。二つの力が混じりあい、大きな炎の花びらが、病院の屋上に咲いた。
それは、アマゾンフレアを。そして、彼を拘束する、アマゾン態___アマゾンネオ___千翼を貫く。
「私は何も間違っていない! この醜い世界を、私が___!」
フラダリの断末魔は、龍の雄たけびに塗り潰されていった。
そしてようやく。
雨が止んだ。
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