あの人が大好きな世界
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へ矛先を向ける。
「はぁ!」
「うわわ!」
「やべえ!」
勇者パンチが来る。龍騎は慌ててデッキよりカードを引き、ドラグバイザーにセット。
『ガードベント』
危機一髪。寸前のところで現れたドラグシールドは、そのまま友奈の拳と対消滅。余剰ダメージはさらに龍騎を襲った。
「真司さん!」
「大丈夫……」
ヨロヨロの状態ながら、龍騎は立ち上がる。
アマゾンフレアは続けた。
「愚かな人間。世界というこのシステムは、どこかで歯車が狂ってしまう。だから私はそれを壊し、修正しようというのだ。……リセットだ。私のユートピアを作るための」
「ふざけんな! お前の勝手で、世界を壊すな!」
「勝者にこそそれを決める資格があるのだ」
アマゾンフレアは、改めてベルトのグリップを握る。
『バイオレンス ブレイク』
それは、必殺技の一つ。
アマゾンフレアの右腕が深紅に輝く。雨を一切寄せ付けないその高温が、一気に友奈を襲う。
「危ない!」
それに対応し、友奈は、その右足に桃色の光を込めていた。
「勇者キック!」
二つの必殺技の衝突。爆発とともに、友奈を壁に激突させ、さらに変身解除に至った。
「友奈ちゃん!」
「だ、大丈夫……」
言葉とは裏腹の彼女は、もう立ち上がるのも難しそうだった。生身のまま、何度も起き上がろうとしている。
「友奈さん……」
それを千翼は、じっとうつろな目で眺めていた。
彼が敵に回らないことを祈りながら、龍騎は彼の足元のドラグセイバーを拾い上げる。
その刃先をアマゾンフレアに向け、彼の次の動きを伺う、その時。
「もうやめよう……」
か細い声が聞こえた。同時に、龍騎の背後からする足音。
足を引きずりながら、千翼は龍騎の隣に立つ。
「千翼……どういうつもりだ?」
「俺は……俺は……姉ちゃんが好きだったこの世界を、壊したくない……!」
それは、千翼が精一杯の言葉で言った。
「フラダリさんの言葉はよくわからないけど……でも、姉ちゃんはこの世界で、ハルトさんに出会って、俺も友奈さんと出会って、木綿季や可奈美さんとも出会った。……そんな素晴らしい世界を、俺も壊したくない……」
「忘れたのか千翼。この世界はアマゾンを受け入れられない。お前が生きるためには、この世界をアマゾンにするしかない」
「俺も、それでもいいって思ってた。そうしてでも生きたいって。……でも……」
千翼は、自らの腕を掴む。こみ上げてくる何かを抑えるように、全身が震えていた。
「もう姉ちゃんはいない……だったらせめて、姉ちゃんがいた世界は……俺がどうなってもいいから、守りたい!」
「……話にならんな」
ため
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