あの人が大好きな世界
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『ソードベント』
雨を舞うドラグレッダーが吠える。握られたドラグセイバーを駆使し、龍騎はアマゾンフレアへ斬りかかる。
だが、アマゾンフレアは無駄のない動きでそれを避ける。上半身を僅かに反らして柳葉刀を回避し、逆に最低限の肘打ちで龍騎を退ける。
「ぐっ……!」
「任せて!」
だが、龍騎の肩を伝い、友奈がアマゾンフレアに攻め入る。彼女の格闘技は、同じく武器を持たないアマゾンフレアに接戦を挑む形となった。
だが、決して低くない技量の友奈に対し、アマゾンフレアの格闘もまた彼女を上回っていた。拳を見事に受け流し、引き寄せ、その顔面に蹴りを入れる。
「うわっ!」
「友奈ちゃん!」
地面を転がる友奈を助け起こす。
それを見下ろすアマゾンフレアは、顎に手を当てながら肩で笑った。
「ふふふふ。これで世界の平和は加速していく」
「平和平和って……、これのどこが平和なんだ?」
「お前に何がわかるというのだ? この世界の醜い部分を知らないお前たちに!」
アマゾンフレアは、さらに攻撃の手を緩めない。その力を込めた足で、龍騎と友奈を踏みつけようとする。
「危ねっ!」
龍騎は友奈を抱えながら地面を転がる。アマゾンフレアが踏み抜いた箇所は、大きな穴が開いた。
「過去には私にも、苦しむ人々を助けようと手を差し伸べた時代があった」
「フラダリさん」
続いてアマゾンフレアは、ベルトのグリップを掴み、引き抜く。引き抜いた箇所より黒い生体部分が伸び、銛となる。
「はっ!」
「うおっ!」
銛での攻撃に対し、龍騎はドラグセイバーで防御。友奈の真上で火花が散る。
アマゾンフレアの銛で、龍騎はドラグセイバーとの交差を彼に寄せる。顔が近づく状態でも、アマゾンフレアは語り続ける。
「人々は喜んだ……」
「だったら、それでいいじゃないか……?」
「否! それははじめだけ! 彼らは助けを当然のものとし、要求するばかりだった。声高に自分たちの権利を主張するようになり、救いの手が彼らの傲慢を招いた」
ドラグセイバーが龍騎の手を離れ、千翼の足元まではじけ飛んだ。
「っ!」
「せいっ!」
突き刺した銛が、龍騎の鎧へ命中する。痛みとともに、龍騎の体は大きく後退した。
痛む胸元を抑える龍騎。だが、まだアマゾンフレアの攻撃は終わらない。
運よく、アマゾンフレアの足元で跳び起きた友奈。彼女の飛び蹴りで、その銛は弾かれ、屋上より転落していった。
「勇者パンチ!」
「むっ!?」
桃色の友奈の拳。
それは、さすがのアマゾンフレアでも危険と踏んだのだろう。彼女の拳が顔面に命中する寸前で、体を回転させ、友奈の背後に回り込む。勇者パンチの手首をつかみ、そのまま龍騎
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