第四章
[8]前話
「不思議だな」
「それはそうね」
「あれか?前田さん秀吉は亡くなったご主人は柴犬と羽柴をかけて秀吉って名付けたってお話してたけれどな」
「豊臣秀吉さんね」
「あの人途中その名前だったからな」
羽柴秀吉という名前だったというのだ、尚豊臣というのは源平藤橘と同じ本姓なので普通は使われなかったかも知れない。
「それで秀吉だったな」
「確かあの人子供中々出来なかったのよね」
「五十過ぎるまでな、その出来た子供もな」
豊臣秀頼と彼の兄捨丸もだ。
「実はあの人の子供じゃないってな」
「言われてるの」
「そんな話もあるからな」
「そうだったのね」
「そんな人だけれどな」
「あれじゃない?あの人凄く子供が欲しかったっていうから」
子宝に恵まれなかったから余計にだったという。
「だからね」
「その願いがか」
「秀吉に宿って」
犬である彼にというのだ。
「それで、じゃないかしら」
「そうか?言われてみればな」
「有り得るでしょ」
「ああ、秀吉さんも必死だったしな」
子供が欲しくてというのだ。
「だから側室の人多かったしな」
「女好きだったのよね」
「けれど子供が出来なかったしな」
五十過ぎまでだ。
「それでその子供二人もな」
「そう言われているし」
「その願いがな」
「秀吉に伝わってかしら」
「名前を受け継いだだけにな」
「そうかも知れないわね」
「そうだな、そうした事情で秀吉にそんな力があるなら」
「豊臣秀吉さんに足向けて寝られないわね」
妻は夫に笑って話した。
「これからは」
「そうだな、秀吉もそう思うか?」
夫はここで自分達の傍で丸くなっている彼に問うた。
「太閤さんに感謝しないとって」
「ワン」
これが秀吉の返事だった、その返事を見て。
妻は笑顔でだ、夫に言った。
「そうしようって言ってるみたいね」
「そうだな、じゃあこれからはな」
「私達は太閤さんを尊敬しないとね」
「ただお百姓さんから天下人になっただけじゃないな」
「今もそうしたことをしてくれるから」
二人で笑顔で話した、この時から二人の尊敬する人は豊臣秀吉になった、そして愛犬秀吉そして我が子と共に幸せに過ごした。
名前とは反対の犬 完
2021・1・20
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