第三章
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マミは夫、名前を佳彦という四十位で黒髪をオールバックにしていて眼鏡が似合う理知的な顔立ちの一八〇程の背ですらりとしている彼と共にだった。
秀吉の散歩に出た、そして帰ってからマミはちえみに言った。
「これでね」
「赤ちゃん出来たらですね」
「嬉しいわ、うちの人も四十で私も三十五で」
年齢のことを言うのだった。
「本当にね」
「大変ですか」
「そうだったから」
それでというのだ。
「これで出来たらね」
「もうですか」
「これ以上のことはないわ」
「今回は申し訳ありません」
マミの夫も言ってきた、礼儀正しい声だった。
「ワンちゃんをお借りして」
「いえ、こうしたことでしたら」
「いいですか」
「ご遠慮なく」
ちえみは彼に笑顔で答えた。
「本当に」
「そう言って頂いて何よりです」
彼は笑顔で応えた、そして妻を連れて家に帰ったが。
数ヶ月後マミはその夫と共にお菓子を持ってちえみの家に来て笑顔で話した。
「出来たのよ」
「そうですか」
「ええ、本当にね」
「それはよかったですね」
「物凄く嬉しいわ、それもこれもね」
マミはちえみの傍で寝ている秀吉を見つつちえみに話した。
「秀吉ちゃんのお陰よ」
「この子のですか」
「本当にね、だからこれはつまらないものだけれど」
「あの、ゴディバですけれど」
「私達の気持ちだから」
その高価なチョコレート菓子を差し出しつつの言葉だった。
「受け取ってね」
「子宝を授かったのですからこれ位は」
マミの夫も言ってきた。
「お気になさらずに」
「そうですか」
「はい、どうぞ受け取って下さい」
マミの夫も言ってだった、二人はちえみそして秀吉に深い感謝の意を述べた。それから二人は自分達の家に帰ったが。
夫は夜に家で彼女にそのチョコレートを一緒に食べながら話した。子供はまだ赤ちゃんなので食べられなかった。
「美味いな」
「流石ゴディバね」
「そうだな、しかしな」
「しかし?」
「何で秀吉を夫婦で散歩に連れて行ったら子宝が授かるのか」
夫は妻にこのことを言うのだった。
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