"DEAREST DROP"
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もう、どれほど戦ったのだろうか。
『バインド プリーズ』
このバインドも、もう一度や二度ではない。
また、同じようにクトリに斬り裂かれるのも、もう見慣れた光景だった。
クトリのセニオリスとウィザーソードガンが鍔迫り合い。もう何度目か、数えることもできなくなってきた。
『ランド プリーズ』
土のウィザード。機動性、魔法をすべて物理に振った形態の肉体攻撃は、全てクトリを上回る。その掌底には、クトリも打つ手がなく、ただひたすらに攻められていた。
「こうするしか……ないんだ……!」
『ランド シューティングストライク』
黄色の弾丸を発射する。土のウィザードの必殺技の一つを、怯んだクトリへ発砲する。
「うおおおおおおおおおおおおおお!」
だが、クトリは怒声とともに、セニオリスを振り上げる。彼女の力量はただの看護婦のそれではなく、これまで無数のファントムを倒してきたシューティングストライクをも真っ二つに両断した。
「っ!」
「だあああああああ!」
蒼一閃。彼女の薙ぐ蒼い刃先は、そのままウィザードへ命中。大きく後退させた。
「ぐっ……だったら……!」
『フレイム プリーズ』
再び火のウィザードに戻る。
フレイムスタイルになったと時同じく、クトリのセニオリスが何度もソードガンと打ち鳴らす。徐々に彼女の動きも見切れるようになり、ウィザードの蹴りがクトリの腹に命中、大きく引き離された。
「クトリちゃん……」
セニオリスを使って起き上がろうとする彼女を見つめながら、ウィザードは静かに告げる。
「もう……この悲しい戦いも……終わりにしよう」
オールマイティであるこの形態の強みは、万能の汎用性。そして。
キックストライクが、ウィザードの最大火力を誇ること。
ウィザードはキックストライクウィザードリングをはめる。だが、ウィザードライバーを操作し、キックを放つというプロセスまで移行することができない。
ハンドオーサーに触れたまま、ウィザードは動くことができなかった。
「っ……」
クトリは、ここで倒さなければならない。アマゾンである彼女が、人間を襲わない保証などどこにもない。ましてや、彼女がアマゾンだと知っているのは自分だけ。ここで食い止めなければ、市場にトラを放つのも同義だ。
だが。
「クトリちゃんが……クトリちゃんが何をしたっていうんだ!」
ウィザードは、ストライクウィザードリングを外し、床に叩き捨てる。コロコロと転がっていった必殺技が、「俺を裏切るのか」とウィザードを糾弾しているようにも見えた。
ウィザードは、そんな指輪へ訴える。
「生きているだけなんだぞ……この病院で、看護師やってるだけなんだぞ……
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