第二部
第二章 〜対連合軍〜
百一 〜運命の使者〜
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瓦礫は、連合軍を足止めするのに十分な役割を果たしたらしい。
それだけ、乏しい糧秣の浪費へと繋がった事になる。
我らとて厳しい事に変わりはないが、数の多い敵軍にしてみれば更に早期決着を図る必要に迫られているであろう。
それだけ攻撃が苛烈になる結果とはなるが、この虎牢関はシ水関の比ではない堅牢さを誇る。
即ち、力攻めをすればするだけ、攻撃側の損害は増す結果となる。
それがわからぬ程、諸侯も愚物揃いではあるまい。
朱里らの思案も纏まり、彩らの助力を得て既に動いていた
そんな中。
「と、歳三殿! 一大事ですぞ!」
転がり込むように、ねねが部屋に飛び込んできた。
「どうしたのです。そのように慌てて」
「あ、慌てもしまずぞ禀殿!」
「……ちんきゅー。落ち着け」
恋が差し出した水を、ねねは一気に飲み干した。
「ふう、ありがとうですぞ、恋殿。……あ、そ、それどころではないのです!」
「申してみよ。驚いているばかりではわからぬ」
「こ、公孫賛殿が」
「白蓮が如何致した?」
「我らに降るとの事です!」
その言葉に、私と禀は顔を見合わせた。
「確か、白蓮の軍はシ水関ではほとんど戦闘に参加しておらぬ筈だが」
「はい。騎兵が主体の編成ですし、損害はないと聞いています」
「然りとて、連合軍そのものは未だ健在だ」
「……ええ。この頃合いで降伏してくるとは、何かの策でしょうか?」
「……うむ。白蓮がそのような策を講じるとも思えぬな」
禀は眼鏡を直してから、ねねを見た。
「それで、使者は今何処にいるのですか?」
「歳三殿のお許しがあれば、すぐに連れてきますぞ。近くに潜んでいるとの事ですからな」
「どうなさいますか? 万が一、という事も考えられますが」
「……ねね。使者には誰が参ったのだ?」
「はい。程普殿が来られたようですな」
程普だと?
呉の、知勇兼備で知られた名将が白蓮に仕えているのか。
睡蓮(孫堅)の下では見なかったが……ふむ。
「よし、案内せよ」
「わかったのですぞ!」
「歳三様。私と恋も同席しますが、宜しいですね?」
「ああ」
白蓮が卑劣な真似をするとも思えぬが、その程度の用心はしておくに越した事はなかろう。
「土方様ですね。公孫賛麾下の、程普と申します」
現れたのは、やはり女子。
だが、鍛えられた体躯と理知的な眼が、常人ではない事を物語っている。
長い髪を背中で束ね、美形という点ではなかなかのものであろう。
「土方だ」
「筆頭軍師の郭嘉です」
禀の名乗りに、程普は頭を下げて返した。
「呂布様、陳宮様はお久しぶりですね」
「……ん。程普も、元気そう」
「変わりないよ
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