第二部
第二章 〜対連合軍〜
百一 〜運命の使者〜
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をしたが最後、我が手で捕らえてご覧に入れましょう」
根が真面目な疾風らしい宣言である。
「しかし、目的は何だったのでしょう? 殿のお命を狙ったとも思えませぬが」
「ふむ。曹操殿からの密使ですかな?」
「星殿、それはあり得ませぬぞ。ねねは、破壊工作を目論んでの事と見ますな」
「ですが、関にあのような仕掛けをしていた事は誰にも知られていない筈ですし……」
「それに、仮に気づいたのならもっと早い段階で調べようとしたと思います」
朱里と雛里も続いた。
「恋の話では、積極的に襲ってくる様子はなかったとの事。特に情報が漏れたという事もなさそうですし、ひとまずトウ艾殿の事は置いておきましょう」
「うむ、禀の申す通りだな」
華琳の命を受けて動いている事が明らかなのだ、今はそれだけで良い。
「雛里。投石機や櫓の製作者は判明したか?」
「は、はい。名前だけですが」
「構わぬ。申せ」
皆の視線が、雛里に集まる。
「あわわ……」
雛里は、慌てて帽子を目深に被ってしまう。
「ほら、雛里ちゃん」
「う、うん……。李典さん、という方のようです」
ふむ、確か曹操麾下の将だった人物だな。
恐らく、この世界でも華琳に仕えていると見て間違いなかろう。
だが、発明家であったという記憶はない。
……尤も、私の知識との相違は李典に限った事ではないが。
「禀、星。お前達が知る人物か?」
彩の問いかけに、二人は首を傾げる。
「いえ。私は初めて耳にした名ですね」
「私もだ。諸侯の中に、そのような者を麾下に持つとあらば耳にしている筈だが」
「二人でも知らん、ちゅう事は最近仕官したんかも知れへんな。せやけど、あないなもん金持ってへんと作れんのとちゃうか?」
霞の言葉に、朱里が頷く。
「そうですね。私の連弩だけでも、かなりの開発費がかかりましたから。かなり、懐事情の良い諸侯にお仕えしているのだと思います」
「つまり、あれを破壊する事が出来れば……そう容易く代わりは調達できんという事だな?」
「その通りです、彩さん。それに、この短期決戦では例え費えがあったとしても製作が間に合いませんから」
「では朱里殿。ますます、あの兵器を無力化する手立てを講じなければなりませんな」
「ええ。歳三様、急ぎ取り纏めます」
「頼むぞ」
「御意!」
とりあえず、そちらは任せておくより他にない。
「では、私は引き続き孫策殿の行方を。星、助力を頼む」
「承った」
白兎(董旻)が生きていれば……過ぎた事を悔いても仕方あるまいが。
そんな思いを口にすれば、疾風が、そして月が悲しむだけ。
私は、静かに頭を振った。
更に数日が過ぎた。
シ水関の
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