第二部
第二章 〜対連合軍〜
百一 〜運命の使者〜
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……。
「歳三様と恋が共に……。溜まりに溜まったその欲求を、初心な恋が……ああ、そんなっ……」
ふと、禀の様子がおかしい事に気づいた。
……む、いかん。
「星、彩。禀が!」
「何ですと?」
「一体、何が?」
時既に遅し。
「ブーッ!」
盛大に鼻血を噴きながら、禀は床に倒れてしまった。
「り、禀!」
「と、とにかく止血を!」
失念していたな、禀の妄想癖を。
結局、恋の事は有耶無耶となった。
……同時に私も、休む機会を失してしまったが。
数日後。
休息を終えた者らに加え、洛陽から参ったねねを交えて軍議を開いた。
「朱里。対抗手段は浮かんだか?」
「は、はい。何通りかの手立てを考えましたが、まだ固まってはいません」
朱里はそう言って項垂れた。
「仕方あるまい。雛里、禀、それにねね。四人で急ぎ纏めよ」
本来であれば、特に禀には負担をかけたくはないのだが……やむを得まい。
幸い、今は軍師が四人だ。
知恵を出し合えば、程なく策も浮かぶであろう。
「ねね。洛陽の様子はどうか?」
「平穏そのものですな。シ水関が落ちた事も、あまり庶人には動揺を与えていないようですぞ」
「そうか。月の施政も上手くいっているのだな」
「寧ろ、陛下と連合軍に対しての憤りが強いようですな。少なくとも、この虎牢関がある限りは何事も起きない、そう詠殿も言っていますし」
「うむ……」
裏を返せば、此所は絶対に死守せねばならぬという事でもあるな。
シ水関は放棄する事を前提に戦っていたが、虎牢関はそうは参らぬ。
洛陽そのものは防御に向かず、また虎牢関との間には砦を築けるような場所もないのだ。
「星。雪蓮がこの虎牢関の背後に廻っている気配はないのだな?」
「はっ。風と共に目を光らせております故、それをかい潜っての潜入は難しいかと」
「それに、孫策軍は歩兵と弓兵が主体。この中原で迅速に動くには不向きです」
「彩の言う通りやで。ウチらみたいな騎兵、よう持っとらへん筈やしな」
「……気の回し過ぎでなければ良いのだが。どうしても、腑に落ちぬのだ」
「それは私も同じです。風にも今一度、念を押しておきます」
禀の言葉に、皆も頷いた。
「……兄ぃ」
と、黙っていた恋が不意に口を開いた。
「どうした?」
「……アイツ、また来る」
「トウ艾か?」
「……(コクリ)」
恋の勘という奴だな。
だが、十分にあり得る事だ。
「申し訳ありません。私がついていながら、それに気づかぬとは……」
「気にするな、疾風。あの状況ではやむを得ぬ。それに、私はこうして無事なのだ」
「は。しかし、次はあり得ませぬ。同じような真似
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