第肆話「ジョーカー」
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名前らしい。
「俺はお前の犬になった覚えはないぞ」
「そんな事よりカヴァス、この爆発音はなんだ?」
「いや聞けよ。無視すんな」
久し振りだが、相変わらず話を聞かないアーサーに一言言ってやろうと思っていたその時、またしても爆発音が響いた。
それも、さっきより音も揺れも大きい。
反射的に身構えた、その直後──
「うわああああああああっ!?」
「え?ええええええわぶぅっ!?」
親方、天井から女の子が……。
「いてて……はー、ビックリしたぁ……」
この声……間違いない、古達ちゃんだ……。
「っ!……この先、嫌な気配が……すごく嫌な危険な香りがする……」
「そいつは犬型の座布団ではないぞ?早く降りてやれ」
「へ?」
「犬じゃねぇ……あと古達ちゃんそろそろ降りて……」
アホのアーサーだが、流石に視界を長時間女の子の柔らかくてデカいお尻が占めてるのは色々と不味い……という気遣いくらいはできる。
アーサーに言われてこちらに顔を向ける古達ちゃん。この後のパターンは、もう読めている。
「はにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!?どうして下にいるんだよ興梠のド変態!!」
「痛い痛い痛い痛い!!ごめんってば!!でも今回俺悪くないでしょ!?」
「その辺にしておけ。そいつは犬型のサンドバッグでもない」
「だから犬じゃねぇ!!」
ポカポカと音が出るくらい俺を叩きまくる古達ちゃん。諌めようとしてるけど相変わらず俺のことは犬呼ばわりのアーサー。
何だこの状況、ツッコミ不在か?
「そ、そんな事より先進むぞ!森羅に何かあったかもしれないんだ!」
「そうだった!行かなきゃ……」
「あの悪魔に心配は不要だと思うが……」
今はこんな事してる場合じゃない。この先で何が起きてるのかを確かめなければ。
音のした方へとしばらく進むと、前方にある広い部屋から煙が溢れていた。
この臭いは……爆煙?
発煙筒から出る煙に比べて明らかに焦げ臭い臭いがする。
「行こうっ!」
すると、古達ちゃんが一人先に走り出した。
「おいっ!」
「待つんだ古達ちゃん!何が起きてるかまだ……」
古達ちゃんが部屋へと入った次の瞬間、シュッと空気を切る音がした。
「危ないッ!!」
俺より先に、抜刀したアーサーが動いた。
エクスカリバーが、古達ちゃんを狙っていたそれを弾き返す。
「今のは……炎のカード?」
カードが飛んできた方向へ目をやると、そこには見知らぬ人物が立っていた。
「ゆっくりしすぎたか……邪魔が来だした」
まるでカードディーラーのような服装に、長い黒髪と黒い帽子。そして左目を白いレースの刺繍が施された黒い布で隠した男が、煙草を咥えて立っていた。
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