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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第273話「その想いは、決して阻めぬ祈り・前」
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所への攻撃を、シュラインの柄で逸らす。

「(ない……!)」

 本来ならば、その柄で逸らす行為にも先手を取られる。
 だが、そうなる事はなかった。
 複数人で来た場合はその限りではないが、今の所ほとんど一対一だ。
 波状攻撃もあるが、複数を同時に相手どる事はない。

「(……尤も、“今の所は”と注釈が着くけど、ねっ……!)」

 回避先へ回り込まれるが、その攻撃で敢えて飛ばされる事でダメージを最小限に抑え、同時に間合いを取る。

「(……それと、どう見ても複数で同時には来ない。そうしていれば―――)」

 またもや思考に割り込む理力の斬撃が迫る。
 回避した所へ先読みされ、不可避の極光が司を呑み込む。

「(―――私の動きを完封出来るはずなのに……!)」

 “意志”でそれを耐え、同時に魔力を“祈り”と共に爆発させる。
 本来ならば、これも先手を取られるはずなのだ。

「(やっぱり、同じ“性質”でも、邪魔し合うんだろうね……!)」

 再び飛んできた斬撃を受け止めつつ、司はそう結論付けた。
 “早い性質”は、同じ“性質”同士でも先手を取ろうとする。
 そのため、お互いにブッキングしてしまうのだ。
 だからこそ、司の考える通り同時にかかってくる事はないのだ。

「(……と、いう事は―――)」

 瞬時に肉薄され、顎を蹴り上げられる。
 だが、先手を取られても司は回避へと体を動かしていた。
 結果、ダメージを抑えつつ魔力を爆発させて反撃出来た。

「(例え、その分野だとしても“性質”は完全無欠じゃない……!)」

 事前に障壁を張ろうとして、その先手を取られる。
 その妨害を最低限のダメージで受け流し、カウンターを繰り出す。
 カウンター自体は先手を取られて防がれたが、そこまでの動きは一切邪魔される事なく行う事が出来ていた。

「やっぱり……!」

 ならばと、司は思考を切り替える。
 これ以上の考察は必要がないため、思いついた策を実践する事にした。

「ッッ……!」

 先手を取らせ、その攻撃をギリギリで受け止める。
 同時に術式を構築し、吹き飛ばされながらも防御魔法を展開する。

「これは……」

 さらに先手を取られるが、展開した防御魔法が攻撃を阻む。
 すぐに破られはしたが、その間に司は祈りを実現させていた。
 これにより、より強力な障壁が展開される。

「……さぁ、どうやって突破する?」

 先手を取られようと、既に張った障壁が攻撃を阻む。
 そして、そこへさらに障壁を追加する事で、完全に攻撃を遮断した。
 理力の出力によっては破られるが、それでも障壁を常時展開できるのは大きい。

「真正面から吹き飛ばせばいいだけの事……!
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