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少年は勇者達の未来の為に。
鷲尾須美は勇者である 再臨の章
第二話
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・・正直三ノ輪さんぐらいしか覚えてないんだ」

蓮が座る所に向かい、ふと思いついたあだ名で蓮に話しかける。いきなりのあだ名に戸惑いながらもちゃんと返してくれた事を喜び、自身の名前を知らないことに驚いた。

昨日一番接していたのが三ノ輪さんだから覚えているのはわかる。だが、自分はあの『乃木』なのだ。四国に住むもので知らない人はいないと言っていいほどの名字だから、覚えているものだと勝手に思っていた。

視線を感じ、園子は周りをチラ見する。廊下で先生や生徒が青い顔をしていた。ひそひそ話も聞こえる。自分は怪物か何かと思われているのかーーーーーそう思うと悲しくなった。

「それじゃあ改めまして・・・乃木さん家の園子です〜」

「これはご丁寧に、犬・・・違う、白鳥さん家の蓮です。こちらこそ〜」

「!・・・よ、よろしく〜」

自らが名乗っても蓮は周りの大人たちのように態度を変えることなどしなかった。それどころか小芝居混じりの自己紹介に、合わせてくれた。


とても、とても嬉しかった。


ようやく『普通の友達』が出来た。そんな気がしたから。



自己紹介を終え、席に戻る園子。ああ、今日は、きっといい日になる。そんなことを思った。


その日、園子はずっと蓮の事を見てしまっていた。意識していた訳ではないのだが、気がつくと彼に目が行ってしまっていた。授業中だったので安芸先生に注意されてしまった。

休み時間、蓮は銀と話をしていた。と言っても銀がイネスの魅力について熱く語り、蓮は返事をするのが殆どだったが、蓮は凄く楽しんでいるように見えた。一通り語り終わった銀は”今度は一緒に行こうな!案内するからさ!”と元気に言い、蓮もそれに応じた。

友達とのお出かけ・・・園子には心躍る言葉だった。


昼休み、園子は蓮に声を掛けた。

「れーく〜ん」

「乃木さん?どしたの」

「一緒にどっか行かな〜い?後、私のことはノギ―やそのちゃんとか、好きなように呼んでいいよ〜」

「ふむん?・・・じゃあ”のこちゃん”って呼んでも良い?」

「ふおぉ〜のこちゃん。いいね〜」


あだ名呼びにもちゃんと答えてくれる。園子はもっと嬉しくなった。

「じゃあ・・・どこ行こうか?出来たらのんびり過ごしたいなって思ってて・・・」

「いいよいいよぉ〜お任せあれ〜」

「では、のこちゃんにお任せしました〜」

「了解了解〜」

こんな寸劇にも付き合ってくれる。話のテンポも語尾を伸ばすところもなんとなく似ている。そんな共通点に嬉しくなった園子は蓮の手を取り、案内する。少し恥ずかしかったがそれを上回るほどに嬉しかった。蓮もそんな彼女に付いていく。
彼女が案内したのは中庭であり、2人は草の上に寝っ転
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