鷲尾須美は勇者である 再臨の章
第一話
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大赦の車に乗せられた蓮は物思いに浸っていた。家族に泣きながら見送られた自分。あの時、せめて泣かずに、笑顔で行ってこようと思っていたが、必死に泣くのを堪えている姉妹を見たら、耐えられなかった。
(不安に・・・させちゃったかな・・・)
今思い出すだけでも涙が出てくる。自分はこんなに泣き虫だっただろうか。
(やっぱり・・・心配だな・・・)
両親も心配だが、やはり、もっとも心配なのは風と樹の二人だろう。自分にべったりだった樹。樹程ではないにせよ、甘えられる時は一緒にいた風。明日から自分がいなくても、平気だろうか。
(でもーーー)
風も樹も、蓮も泣いた。別れを惜しんだ。でも大丈夫だろう。姉も妹もしっかりと返事をしてくれた。姉御肌な姉。彼女なら大丈夫だろう。樹もきっと大丈夫。理由は無いが蓮はそう思えた。
なんてことを考えていると、車が止まった。
白鳥家に着いたのかーーーなんて考えていたが。
(・・・あれ?)
着いたのは大赦の本部だった。
質問をする間も無くあれよあれよと白装束に着替えさせられ、「神樹様にお会いになるので、身を清めてください」と言われた。
ギリギリ夏で良かった。メッチャ寒い。
身を清めた後、蓮は大赦本部の奥にある神樹様が待つ最奥の部屋へと通された。
「・・・これが、神樹様・・・」
そう呟いてしまうほど、幻想的だった。
そんな神樹様の根本に、ソレは刺さっていた。
ひと目見ただけでわかった。これがーーーおよそ剣と呼ぶには歪な形をしているこれが、使者が言っていた聖剣だ。
(変な形だなぁ)
そう思ってしまうほど見れば見るだけ変だった。剣という割には、全く切れそうに無い刀身。えにも刀身にも青いラインが入ってる以外は全て真っ赤。そして、何よりも気になるのが、恐らく刀で言う鍔部分だろうか。そこには大きな穴が空いていた。
「では・・・蓮様、聖剣を抜き取って下さい」
大赦の人がそう伝える。蓮はうなずき、両手で柄を掴んだ。そして、思いっきり引き抜いた。
「うわっ!?」
聖剣は蓮が思っていたよりも簡単に抜け、勢い余り転んでしまった。
その瞬間、おお!と歓声が上がった。
大赦の人が優しく支え、立ち上がらせてくれる。
蓮は聖剣をまじまじと見た。
(凄い軽い・・・)
持ってみてわかったが、この剣は大きさの割にとても軽かった。攻撃に使えるのかと思える程に。
神樹様の間から出てすぐに、布を渡された。聖剣には鞘が無いため、これで隠してくれ、と言う事らしい。
「聖剣に名前はあるんですか?」
「"モナド"でございます。蓮様」
大赦の人に聞いたらすんなり答えてく
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