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少年は勇者達の未来の為に。
鷲尾須美は勇者である 再臨の章
プロローグ
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その日、聖剣は輝きを取り戻した。
ある少年がこの世に生まれたからだ。
その日、ある神は少年の誕生を祝福した。
その日、ある神は少年の誕生を呪った。
運命は、動き出した。















ーーーちゃんーいーちゃん
お兄ちゃん!
「・・・んお?」

「やっと起きた、朝だよ、お兄ちゃん」

「あぁ・・・おはよ、樹」

妹である樹に起こされ、少年ーー犬吠埼蓮(いぬぼうざきれん)は目を覚ました。
「姉さんは?」

「先に起きてるよ。お兄ちゃんが一番最後、珍しいね、いつも一番早く起きるのに」

「確かに、夜更かしはしてないんだけどねえ」

なんて事を話しながら樹と一緒にリビングへ向かう。
「おはよう」

「あっ!やっと起きたわね蓮!珍しいわね、いつも一番最初に起きてるのに」

「あはは・・・さっき樹にも同じこと言われたよ。そんなに珍しいかな?」

姉である風にも同じ事を突っ込まれた。

「まぁいつも一番だからね。おはよう蓮」

「私達より早起きしてるものね〜」

「おはよう、父さん、母さん」

両親にも挨拶をする。そして朝ごはんを食べる。
学校に行き、勉強して、帰ったら姉さんと樹と遊ぶ。
これが当たり前の日常だと思っていた。ずっと家族は一緒なのだと思っていた。

今日この日までは・・・・



犬吠埼風にとって蓮は、自分や同学年の男子よりもかなり落ち着いた男の子であった。基本的に蓮は樹と一緒に歌を歌ったり、遊んだり、ゆったりしている事が多い弟。そんな彼に甘えて、膝の上に座っている樹の頭を撫でている姿をよく見る。

けれど運動が出来ない・嫌いなわけではなく、誘えば一緒に遊んでくれる優しい弟でもあった・・・その面倒見の良さから小さい頃は蓮が兄だと間違えられた事がしばしばあったのは秘密だ。



犬吠埼樹にとって蓮は姉と同じくらい大好きな兄だった。姉とはまるで正反対で内気な自分をいつも気にかけてくれ、甘やかしてくれる兄。姉の風と蓮の膝の上にどっちが座るかでケンカになった事もしばしば。
自分の言った事には責任を持たせ、風とのケンカで間に入った時、「どっちも悪い!」とデコピン(めちゃくちゃ痛い)をするなど厳しい部分もあったが、そこも好きだった。


誰から見ても超が付くほどの仲良し家族だった。風も樹もずっと蓮が一緒にいてくれるものだと信じていた。

今日この日までは。






ピンポーン・・・・・

夜8時、両親は共働きの為、久々に家族全員で夕食を食べた後の事、インターフォンが鳴った。

「はい、どちら様ですか?」

『大赦の者です。"お役目"の件で参りました・・・』

「・・・!?」


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