第百八十五話 大騎馬戦その十
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「お顔が」
「ああ、驚いてるよな」
「そうなっています」
「司令官が感情を出すことはな」
顔にというのだ。
「やっぱりな」
「よくないかと」
「そうだよな、しかしな」
「まさか今の状態で、ですね」
「突撃してくるなんてな」
そうしたことはというのだ。
「思わなかったからな」
「それで、ですね」
「正直驚いた」
「そうですね」
「ああ、まさかまだ攻撃してくるなんて」
「勇敢と言うべきか無謀と言うべきか」
「もう勝敗は決したと思ってな」
それでとだ、久志は源三に話した。
「前に出たんだけれどな」
「それがですね」
「ああ、まさかだな」
「まことに。ですが」
「敵がそう動くならな」
「こちらはどうしますか」
源三は久志に問うた。
「ここは」
「難しいな、けれど前に出たからな」
「それではですね」
「このまま攻めるか」
「そうしますか」
「そして敵を倒してな」
そのうえでというのだ。
「退かせるか」
「そうしてですね」
「追撃に移るか」
「それでは」
「ああ、このまま前に進むな」
こう言ってだった。
久志は軍勢をそのまま前進させた、今度は軍と軍がぶつかり合う戦いになったがそれは一瞬のことだった。
敵軍は数が減っていて傷付いていたので一気に崩れた、久志はそれを見て言った。
「どれだけ勇敢でもな」
「それで強うてもな」
美奈代が応えた。
「それでもな」
「ああ、数が相当開いたさかいな」
「もうな」
これでというのだ。
「敵は崩れたな」
「そうだな、じゃあな」
「追撃やな」
「そうしような」
「ああ、後な」
そしてとだ、美奈代はさらに話した。
「ここはな」
「このままブダペストまで進むな」
「そうしてな」
「街を囲むか」
「そうしよな、ただあの街はな」
美奈代はそのブダペストの話もした。
「川、ドナウ川が真ん中を流れててな」
「その川をどうするか」
「それや」
まさにというのだ。
「それをどうするかや」
「囲むにしてもな」
「そこも考えていこうな」
「街を囲むにもその街の特徴を考えないとな」
「それも戦やろ」
「ああ、ただ出来たらな」
久志はこうも言った。
「街を囲んでもな」
「攻城戦はやな」
「避けたいな」
これはというのだ。
「やっぱりな」
「そやな」
「それじゃあな」
「ああ、今からな」
「追撃に移るな」
「そうしよな」
美奈代も頷いてだった。
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