第三章
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「だから」
「それでなんだ」
「そう、人は性格ね」
「まあそれは」
榊原も頷くことだった。
「幾ら外見がよくてもね」
「性格が悪いと駄目だから」
「俺の性格を見てなんだ」
「そう。クラスの仕事も進んでするし」
「それは当然じゃないかな
「そうしたことを当然と言えることが」
このこと自体がというのだ。
「いいの」
「そうなんだ」
「だから」
それでというのだ。
「これから宜しくお願いします」
「じゃあね」
こうしてだった、寅子は榊原と交際することになった。するとだった。
寅子はいつも彼と一緒にいる様にして交際を隠すことはなかった。彼にお弁当を作ったりデートをしたりした。
そんな彼女を見て周りは驚いて口々に話した。
「まさかな」
「本渡さんがな」
「ああして付き合うなんてな」
「榊原とな」
「榊原性格はいいけれどな」
それでもというのだ。
「ぱっとしないよな」
「おっちょこちょいなところあるしな」
「結構ミスも多いしな」
「本渡さんとは不釣り合いな気もするけれど」
「まあ顔も悪くないし」
こっちは普通と言えた。
「背も高いしね」
「成績はいいし」
「まあいいかな」
「ただ」
それでもとだ、誰もが言った。
「あの本渡さんが」
「聖女だと思っていたら」
「恋愛なんて絶対に縁がないって思っていたら」
「その本渡さんが」
まさかという顔で言うのだった。
「男と付き合うなんてな」
「それもいつも一緒にいるし」
「何ていうか」
「本当に嘘みたい」
「恋愛するなんて」
「聖女が」
誰もがこう言って驚いていた、しかし。
寅子はこう言った。
「私は普通の女の子だから」
「そう言うんだ」
「ええ、聖女じゃないから」
こう榊原に言った。
「確かに神様は信じているけれど」
「それでもなんだ」
「聖女じゃないから」
このことを言うのだった。
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