第二章
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「考えていけ、いいな」
「進めばいいのね」
「まずはお前から告白しろ」
寅子の方からというのだ。
「ラブレターなり書いてな」
「ええ、お父さんの言う通りね」
母も同じ考えだった。
「寅子が本気ならね」
「それなら」
「自分から告白しなさい、若し振られても」
その時のこともだ、母は話した。
「いいのよ」
「失恋しても」
「その時は落ち込まないことよ」
「そうなの」
「ええ、縁がなかっただけだから」
それだけのことだというのだ。
「諦めてね」
「それでなのね」
「別の恋をすればいいのよ」
「そうなの」
「失恋をあれこれ言う人がいても」
それでもというのだ。
「気にしないで」
「そうしてなのね」
「次の恋に向かうのよ。とにかくね」
「進むことなのね」
「自分からね。いいわね」
「わかったわ」
寅子は両親の言葉に頷いた、そうしてだった。
実際にその彼榊原八幡一八二の長身で成績優秀だがそれでいて何かとミスが多くおっちょこちょいな愛嬌がある太い眉に明るい顔の彼に自分から声をかけた。
「今日の放課後だけれど」
「今日の?」
「体育館裏に一人で来てくれるかしら」
「えっ、まさか」
「伝えたいことがあるから」
無表情だが彼をじっと見つつ言った。
「だからね」
「あの、ひょっとして」
「その時でいいかしら」
「うん、じゃあ」
榊原は驚きつつも応えた、そしてだった。
放課後体育館裏でだった、彼は。
寅子からの告白を受けた、それで榊原はその場で唖然となって言った。
「まさかと思ったけれど」
「好きになったから」
「あの、俺でいいの?」
寅子に戸惑いつつ問うた。
「本当に」
「私でよかったら」
これが寅子の返事だった。
「是非」
「じゃあ、けれど何で俺なんか」
「性格が好きだから」
「性格なんだ」
「優しいし公平だから」
榊原のその長所を指摘して話した。
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