第四章
[8]前話
「その猫ちゃん助けたけれど」
「どうするか、か」
「そこまで考えてた?」
「ニャア〜〜」
信彦が優しく抱いている猫が鳴いてきた、可愛らしい声である。
その鳴き声を聞いてだった、明日香は信彦にさらに言った、
「飼うかどうか」
「そのこともな」
「考えてなかったの」
「ああ」
そうだったというのだ。
「咄嗟に助けようって思ってな、けどな」
「けど?」
「うちで飼うな」
信彦はその猫を見つつ明日香に答えた。
「そうするな」
「お家で飼うの」
「うちの家族皆猫好きなんだよ」
信彦は明日香にこのことを話した。
「特に祖母ちゃんがな」
「それじゃあ」
「ああ、うちに連れて行ってな」
そしてというのだ。
「ちゃんと飼うさ」
「それならいいけれど。ただね」
「ただ?」
「信彦君も私と同じというかぞれ以上に無鉄砲なんて」
明日香はここで信彦に笑ってこう言った。
「にょほほほほほ、中々面白いわね」
「そこでそう言うか?」
「これからは無鉄砲同士やっていこうね」
「変なこと言うな」
「似た者同士ってことでね」
明日香は信彦に笑って告げた、そうしてだった。
二人でデートは中断して信彦の家まで戻って猫を家に届けた、猫は雌だったので祖母にメアリーと名付けられて飼われることになった。
そしてそれからだった。
何かあるとだ、信彦は明日香に言うが明日香も彼に言う。そうした風になり。
お互いにそれまで以上に親密になった、それで信彦はテスト勉強中に一緒にそちらに励んでいる明日香に言った。
「似た者同士ならな」
「それならなの」
「お互い支え合ってな」
そうしてというのだ。
「やっていこうか」
「にょほほほほ、それがいいわね」
「今だってな。ただな」
「ただ?」
「お前意外と頭いいんだな」
明日香の成績のことを言った。
「そうなんだな」
「数学のこと?」
「そっち学年トップで他も結構いいな」
「全体的には信彦君の方がいいでしょ」
「そうか?」
「私基本数学一芸だからね」
これがいいだけだというのだ。
「だからね」
「俺の方がか」
「だから教えてね」
「それじゃあな」
信彦も頷いた、そしてだった。
信彦は明日香に自分が教えられることを全力で教えていった、明日香から数学を教わると共に。そうしてその中で似た者同士だとふと思って心の中で笑いもした。
小さくても 完
2020・8・12
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