第四章
[8]前話
「悪意があるならもう老人ホームに入れるよりも」
「精神に障害があると言ってですか」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「精神病院に入れるやり方もです」
「あるんですか」
「お孫さんもそう主張して」
「それも強くですね」
「親戚の他の人も老人ホームじゃ駄目だとか言って」
「本当に嫌われていたんですね」
「お金もかからない様に配慮して」
そうした『配慮』をしたというのだ。
「最低限のお金で待遇も悪いと評判の」
「そうした精神病院にですか」
「文字通り放り込んだそうです」
「それは凄いですね」
「そのお祖母さんはそこまで皆から嫌われていたんですね」
淡々とした言葉だった。
「親戚全員から、そして知り合い全員からも」
「まあ話を聞く限りでは」
山村もだった。
「わかります」
「そうですね」
「はい、前に聞いたお話に子供が生まれた母犬を子犬達ごと捨てろと喚くんですから」
「邪魔だとか言ってだったそうです、不妊手術とか里親とか考えずに」
「そうした人でしたから」
「徹底的に嫌われていて」
それでというのだ。
「家を追い出されて」
「老人ホームどころかですね」
「精神病院です」
「そこに入れられたんですね」
「もう誰もそこから一生出さない」
「親戚の人達がですか」
「皆言っているそうです」
そうした状況だというのだ。
「特にお孫さんが」
「やっぱりそうですか」
「はい、そうなりました」
「そうですか、まあ自業自得ですね」
山村はあっさりとした口調で答えた。
「子供が生まれた母犬を邪魔だからって子犬達ごと捨てろとか言う人は」
「そこまで無情だとですね」
「人にも何をしてきたか」
「そういうことですね」
「同情することはないですね」
「そうですねね」
話をしてくれた人も頷いた、そしてその後で。
山村はその老婆が誰も見舞いに来ない劣悪な環境の精神病院の中で放り込まれたことで親戚全員を罵りながら死んだことを聞いた、そして葬式も行われず無縁仏として処理されて親戚全員がそのことを喜んだことを。全て聞いたがそれも全て自業自得だと思った。それまでそれだけのことをしてきたのだからと。
真実を知った孫 完
2020・12・29
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