第二章
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「ならその名前で」
「これからですね」
「一緒に暮らしていきます」
こう山村に答えてだった、上田さんは。
犬達にも優しい笑顔で声をかけた。
「じゃあ宜しくな」
「ワン」
「ワンッ」
「ワンワンッ」
「キャン」
「キャンキャン」
五匹上田さんに応えた、そしてだった。
五匹は上田さんと一緒に新しい家に向かった、山村はその彼等を見送って一緒に活動している人達に話した。
「元の飼い主のところにいたら」
「ですね、そんなお祖母さんがいたら」
「幸せになれなかったですし」
「心ある人と一緒に暮らせそうで」
「本当によかったです、そういえば上田さんのお家の近くに高校がありますが」
一緒に働いている人はこうも話した。
「この街から通ってる子も多いみたいですね」
「隣だからですね」
「レベルが合えば」
それで通っている者がいるとだ、山村にこうも話した。そして。
この時はこれで終わった、だが数年後。
上田さんが犬達の散歩に行っている時にだ、その近所の高校の制服を着ている男子高校生が犬達を見て上田さんに尋ねた。
「あの、その子達まさか」
「どうしたんだい?」
「ミリーっていいません?」
まずは四匹が周りにいる犬を見て言った。
「それでイチロー、ジロー、エミー、サリーって」
「そうだよ」
上田さんはすぐに答えた。
「この子達の名前は」
「うちで飼ってた子達です」
「そうだったんですか」
「小学生の時に急にいなくなって親父とお袋にどうしてもっていう人達に皆貰われたって言われたんですが」
「いや、この子達保健所にいたんだよ」
「保健所!?」
「そうだよ、君の家のお祖母さんが捨てろって言ったんだよ」
「そうだったんですか」
「そうだよ、知らなかったのかな」
「初耳です」
黒髪のその少年は驚きの顔で答えた。
「そんなことは」
「知らなかったのかい」
「はい、保健所に捨てろって」
「殺処分させろってね」
「あの、その子達うちの家族で」
そしてとだ、少年はその顔でさらに言った。
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