第1部
ポルトガ〜バハラタ
タニア救出作戦
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じ、細い体つきと切れ長の目のせいか女性受けしそうな容姿をしているが、髪の毛が若干ボサボサだったり、服の裾が薄汚れてたりと、所々残念な印象を受ける。
そもそも常日頃から容姿の整ったモテ男たちが隣にいるので審美眼は鍛えられている方なのだ。それにユウリはともかく、ナギでさえも(こう言うと本人には失礼だが)身だしなみには気を付けている方なのだから、二人とも外見に関しては完璧と言わざるを得ない。
なので彼らを見ていると、どうしても他の男性の方が見劣りしてしまう。
目の前にいる男性も例に漏れず、私たちから見るとお世辞にも美青年とは言い難い。
けれどおそらく彼は、私たちをナンパするために話しかけたのだろう。今しがた学んだ、シーラの『ナンパかそうでないかの見分け方』を今の状況に当てはめながら、私はそう推測した。
普通ならここで適当に話を合わせつつ、誘われそうになったら断るらしいのだが、今回はあえて誘いに乗らなければならない。もしかしたらタニアさんを拐った犯人かもしれないのだ。
「そーだよ♪ お兄さんも一緒にお話しする?」
シーラがにっこりと笑顔を見せながら青年に尋ねる。彼は一瞬顔を赤らめたが、頭を振って元の表情に戻した。
「本当かい? なら二人とも、向こうにあるお店で食事でもどうだい?」
彼が指差したのは、私たちが昼間訪れたレストランだった。
「あそこは肉料理とワインがおすすめなんだ」
「ホント?! それじゃあ連れてってよ☆」
「ああ、もちろん」
ワインと聞いて目を輝かせ、青年の腕を絡めるシーラ。その慣れた様子に、私は小さく感嘆の声を上げた。
二人がレストランに向かって歩きだしたので、私もあとに続く。
その瞬間――。
「っっ!!??」
急に後ろから布のようなもので口を押さえられ、羽交い締めにされた。
――嫌だ、怖い!!
なんとなく背後に気配を感じたからもしかしたらと思ったけど、実際にこう言う状況に陥ると、恐怖で頭が真っ白になる。
「今日はツイてるな。上玉がたくさん釣れたぜ」
耳元で、今まで聞いたことがないほど怖じ気立つような低い男の人の声が響いた。
囮とはいえ何かしらの抵抗を試みようとするが、布に染み込んだ変な臭いのせいか、思うように体が動かない。その上眩暈はするし、頭もボーッとする。
「やだっ!! やめて!! 離して!!」
シーラの切り裂くような細い声が、何度も頭の中でぼんやり聞こえる。
だめだ、意識が……。これ以上は、何も……。
このあとの記憶は、ほとんど覚えていない。
男たちがなにやらいろい
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