第1部
ポルトガ〜バハラタ
タニア救出作戦
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まれないんじゃない?」
シーラの言葉に私は考え込んだ。確かにこれじゃ、いかにも拐ってくださいといわんばかりで、逆に罠があるんじゃないかと不審に思われるかもしれない。
「うーん。言われてみればそうかも」
「というわけで、今から恋バナしよう!」
「は?」
初めて聞く単語に、私は思わず間の抜けた顔で聞き返してしまった。
「つまり、恋愛の話だよ♪ せっかくこういう格好してるんだもの! やっぱり女子たるもの、恋の話で盛り上がらないと!」
「えー、でも私、恋なんかしたことないし……」
「それじゃあさ、ミオちんはどんな人が好みなの?」
興味津々で聞いてくるシーラに対し、私はどう対応していいかわからず、しどろもどろになる。
「え〜と、あの、その、なんだろう……?」
「一緒にいて、ドキドキしたり、ホッとしたりする人とかは?」
「ドキドキはないけど、ホッとする人ならいたかな」
「誰々?!」
「亡くなった師匠だよ。ずっと師匠のもとで修行をしてたから、家族みたいに安心できる人だったよ」
「そっか……。ごめんね、辛いこと思い出させちゃって」
「私こそごめん。それに、全然辛くなんかないよ。この前幽霊の姿だったけど会えたし」
申し訳なさそうにシーラが謝るので、私は慌ててフォローする。
「そういうシーラこそ、好きな人いないの?」
「う〜ん、アッサラームにいたときは何人か付き合ってたりしたけど、今はいないかな〜」
「すごーい!! シーラ付き合ってた人いたの?!」
「すぐ別れたけどね。やっぱり男は顔じゃなくて中身だよ」
そう自分に言い聞かせるように、うんうんと頷くシーラ。経験者ゆえの価値観というものがあるのだろうか。
「ミオちん、アッサラームでこの人いいなって思った人はいなかったの?」
「そうだなぁ、大道具の人ですごく鍛えてるなって思った人はいたけど、別に好きだからって訳じゃなかったし……」
考えれば考えるほど、自分の恋愛スキルの低さが露呈していく。こんなんでいいのだろうか? 私は。
「しょーがない! この愛の伝道師シーラが、ミオちんに恋愛のイロハを教えてあげよう!」
「お、お願いします! 師匠!」
なんだかよくわからないが、いきなりシーラの恋愛講座が始まってしまった。
それから、数十分くらい経っただろうか?
シーラが「自分が興味のある男の人には変に色目を使ってはいけない」という説明を、私が真剣に聞いていたときだった。
「やぁ、かわいらしいお嬢さん方。ずいぶん楽しそうに話をしてるね」
私たちの目の前に現れたのは、二十歳半ばくらいの細身の青年だった。
パッと見た感
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