暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第272話「音を重ね、奏でる」
[7/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
につれ、その魔力の動きを察知されてしまったのだ。
 “意志”を伴えば、確実にダメージを負わせられる威力だからこそ、神も決して警戒を緩めずにいた。

「唯一通じる手札は決して切らせん。……このまま千日手になるか?」

「………」

 既に千日手の自覚は奏にもある。
 そして、もうそれを打開できないと神が思っていると、確信した。

「―――お断りよ」

 大きく息を吐き、間合いを取ると同時に微笑むように奏は言った。

「ガードスキル“Absorb(アブソーブ)”」

 分身を本体に還元するスキルを使う。
 当然、それも“防がれ”るため、連打するようにゴリ押して使用した。
 そして、分身が戻ってくる。

   ―――“Angel Beats(エンジェルビーツ)-Orchestra(オーケストラ)-”

「ッ―――!?」

 直後、極光が神を呑み込んだ。
 張られていた障壁を容易く破る程の“意志”と威力の攻撃が、奏から放たれたのだ。

「……倒し切れなかったわね」

 対し、奏は当然と言った様子で結果を見ていた。
 分身を戻した際の反動も想定していたのか、大して堪えていない。
 むしろ、分身一人一人が“意志”を強く持っていたようで、回復していた程だ。

「がはっ……!?な、何、が……!?」

「オーケストラは、一つ一つの楽器の音を重ね、一つの音楽として成り立たせるわ。……音を重ね、奏でる。それを私もやっただけの事」

 分身が、それぞれ術式の一部と魔力を用意しておく。
 その分身を本体に戻す際、術式の欠片は合わさり、完成する。
 後は用意していた魔力で魔法を即座に発動という流れだ。
 当然、分身達の“意志”も戻ってくるため、その魔法が“防がれ”る事はない。

「耐えたのは、予想外だったけどね」

「っ、ぁ……!?」

 神は息を呑んだ。
 自身の守りを容易く打ち破る攻撃。
 それを、奏はこの時まで隠し通していたのだ。
 そして、その切り札は確かに神を打ちのめす威力を持つ。
 そうなれば、神も戦慄せざるを得なかった。

「ッ、だ、だが……一度耐えれば、もう……!」

「それは」

「どうかしら?」

「なッ……!?」

 再び奏が増える。
 “防がれ”る事で阻止されていた分身が、使えるようになっていたのだ。

「一度大きなダメージを受けた事で、貴方の“性質”による干渉が途切れた」

「そうなれば、分身も再度可能よ」

「このように、ね」

 増える。増える。
 鼠算式の如く、奏の数が神と“天使”と同等に増えていく。
 神も再度“防ごう”とするが、“意志”を貫く事で奏はそれを跳ね除ける。

「貴方は言ったわよね?“これで
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ