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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第272話「音を重ね、奏でる」
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高めた事で、拘束が解けようとしていた。

「受けよ、天軍を束ねし聖なる剣……!」

「理力だと……!?」

 行動を“防ぎ”きれなくなると同時に、奏の両手に光が集束する。
 光は一振りの剣を形成し、拘束を完全に無効化した。

「はぁああああああっ!!」

「ッ……!ぉおおおおおおおっ!!」

 そのまま、奏は剣を振りかぶる。
 神も負けじと“性質”をふんだんに利用した障壁を多重展開。
 剣と盾がぶつかり合い、眩い光を撒き散らした。

「はぁっ、はぁっ……!これでも、倒し切れないのね……!」

「っ……!(まさか、全力で張った障壁を全部割るとは……!)」

 果たして、その剣は神の守りを全て破った。
 だが、倒すには至らない。
 ダメージはほとんど障壁で減り、直撃しても“領域”を砕くには遠かった。

「だが……これで、切り札は消えた……!」

「ッ……!」

 お互いに無事では済まなかった。
 しかし、奏の方が疲労が大きい。
 ただでさえ不利な奏が、さらに不利になった。

「(―――そう、相手は思うでしょうね)」

 “否”と、奏は神の言葉に心の中で答える。
 先ほどの理力の剣は、むしろ奏にとっても想定外の産物だ。
 ミエラが宿っていた影響、そして理力の残り滓で再現したに過ぎない。
 同じ事を奏がやろうとしても、ほぼ確実に失敗するだろう。
 例え出来たとしても、それは理力を扱える“天使”にでもなった後の話だ。

「っ、ふっ……!」

「そこだ!」

「くっ……!」

 先ほどの攻防で、奏は疲労を蓄積させた。
 その影響か、行動の阻害を跳ね除けられなくなってきた。
 躱せていた攻撃も躱し切れなくなり、理力の衝撃波に吹き飛ばされてしまった。

「しまっ……!?」

 本体の拮抗が崩れた。
 その事実は分身の奏達にも影響した。
 各々、少なからず隙を晒してしまい、最低でも防戦に陥ってしまった。
 中には、攻撃が直撃して決着が着きかけた分身もいる。

「(……まずいわね)」

 劣勢になった。これはまだいい。
 だが、分身を減らされるのは奏としても見過ごせなかった。
 しかしながら、本体の奏も他の戦闘に意識を向ける余裕はない。

「『全員、死んでも耐えきりなさい』」

 故に、ただ一言のみ、念話で告げた。
 戦闘の違いによる考え方のずれがあるものの、分身も奏そのものだ。
 どういった戦術、戦法、想定で動くかなどは、当然ながら分身も承知だ。
 そのため、その念話のみで、分身達は立ち直る。

「……ほう……」

「前回みたいに、簡単には揺らがないわよ」

「そう来なくては、潰し甲斐がないというものよ」

 面白そうに笑み
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